2012 Fiscal Year Research-status Report
干渉トモグラフィーによる三次元温度分布の非接触計測
Project/Area Number |
24560216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富岡 智 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40237110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 修輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30333628)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 三次元非接触計測 / 温度 / トモグラフィー / 位相 / 干渉 |
Research Abstract |
本研究で考えている気体温度三次元計測は、複数の方向から測定した干渉画像を用いて計算機にて三次元分布を再構成する。そのためには、投影方向可変干渉計のハードウェア、および、干渉縞からの位相主値像抽出処理、屈折率光路積分の算出のための位相連結処理、コンピュータトモグラフィー再構成処理の、三つのソフトウェア処理が必要である。過去の実験結果では、原理の検証はなされたものの、精度が悪いことが判っていた。当初は、この原因が、光学系の制約により全方位からの測定ができず再構成アルゴリズムに大きな誤差が混入するためであり、その解決のために、少量であっても、まったく別の角度からの情報が加えられれば、精度が向上できると予想していた。平成24年度は、精度の向上のために、そのハードウェア構成の検討を予定していたが、誤差の原因として、位相主値像抽出処理の誤差も無視できないことが判ったため、まずは、その改善を行うために、アルゴリズムの開発を重点的に行う方向に方針を転換し、ハードウェアの再検討はペンディングとした。但し、投影方向を変える際のアライメント誤差については実験により評価を行った。他にもの位相連結のアルゴリズムの検討を行った。 位相主値像抽出処理では、干渉画像に現れる縞状のキャリア成分の同定と、キャリア成分周辺の位相情報の抽出の二つのステップに分かれるが、ともに従来の方法より高精度のアルゴリズムを開発した。 位相連結アルゴリズムの検討では、従来用いていたアルゴリズムの処理時間と必要メモリーの問題を解決し、より実用的なアルゴリズムに改良できた。 ハードウェアのアライメント誤差の評価からは、実用精度の数倍大きいことが解かった。入手可能な高精度自動ステージの採用により、誤差は半減はできそうであるが、やはり、ソフトウェアの処理により精度の向上をはかる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要で述べた通り、本研究の解決すべき項目は、(1)投影方向可変干渉計、(2)位相主値画像抽出アルゴリズム、(3)位相連結アルゴリズム、(4)コンピュータトモグラフィー再構成処理の四項目であり、精度の悪化の原因に当初予想していた(1)のハードウェア構成の問題に加えて、(2)の位相主値画像抽出処理も無視できないことが解かった。この精度が改善すれば、(1)のハードウェアの改善を小規模で済ませることもできる可能性が出てきたため、今年度は(2)の解決に重点を置くよう計画を見直した。その結果がでるまでは、(1)のハードウェアの検討もペンディングとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果から、新たに判明した誤差要因はほぼ低減できたと予想しており、それを考慮の上、あらためて、当初予定の投影方向可変干渉計に対する追加情報取得系の設計、構築、調整を行い、その有効性を確認する。 また、並行して、計測時間短縮のためのシステムの検討を行う。これは、投影方向可変干渉計を動かしながら、画像を取得するもので、振動に弱い干渉計では難しいことが予想される。振動を低減できるハードウェアの検討と、画像の補間等による振動の除去をソフトウェアで試みる。 以上を実現した後に、当初予定の、ガスバーナー火炎、あるいは抵抗に電流を流した発熱体近傍の気体等の三次元温度分布計測を行いシステム全体の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去に用いていた位相像抽出アルゴリズムを 平成24年度に開発したものに置き換え、これと三次元構成アルゴリズムを組合せ、温度分布を再構成し、誤差を再評価する。また、今まで取得可能な干渉画像データに加え、新たに別の角度からの干渉画像データが含まれた場合に、どの程度、精度が向上するかを評価し、投影方向可変干渉計に対して追加情報取得系を組み込むシステムを構築する。このために必要な、自動回転ステージ、自動移動ステージ、カメラ(いずれも単価は50万円未満)を新たに導入の予定である。 並行して、投影方向可変干渉計の振動低減および干渉画像の補間システムを検討し、一連の干渉画像データセットの測定時間の高速化を検討し、そのための振動低減装置を購入する。 また、平成24年度に開発した、(1)キャリア成分の同定、(2)キャリア成分周辺の位相情報の抽出、(3)位相連結アルゴリズムについて、学会発表あるいは論文投稿を行うための、旅費、ならびに投稿料として研究費を使用する。
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