2012 Fiscal Year Research-status Report
相変化ナノ粒子の相界面現象の解明と革新的蓄熱技術の創成
Project/Area Number |
24560217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
麓 耕二 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (50259785)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 蓄熱技術 / ナノエマルション / 伝熱特性 / 流動特性 |
Research Abstract |
初年度として,蓄熱を目的とした相変化ナノエマルションの諸特性および各種物性値を行った.具体的には,低温度帯蓄熱用として溶質にテトラデカンを用いたナノエマルションを生成し,粒径分布,安定性,さらに熱伝導率を始めとする熱物性値を明らかにした.さらに室温帯の蓄熱を目的として,オクタデカンを用いたナノエマルションを生成することに成功し,各種物性値を明らかにした.特にナノエマルションの蓄熱特性については,DSCを用いた相変化特性の検討を行った.DSC試験の結果,アルカン系材料のみを溶質としてナノエマルションを生成した場合,凝固過程において高い過冷却状態を生じることが分かった.さらにその過冷却状態を抑制するため,アルカン系物質にポリマーを配合した状態でナノエマルションを生成し,相変化時の過冷却抑制効果について明らかにした. 一方,本研究では,相変化ナノエマルションを可流動性蓄熱材として利用することを目標にしているため,本年度は,直円管の試験部を有する流動試験装置を作製し,流動特性に関する試験を実施した.流動試験の結果,ナノエマルションは,非ニュートン流体の中のビンガム流体の形態を有することが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた,相変化ナノエマルションの物性把握および相変化現象の制御に関する実験的検討に関しては ナノエマルションの成分材料および分散媒(相変化物質)を変化させた生成試験を実施し,概ね予定通りの成果が得られた.さらに流動試験装置の製作に取り掛かり,一部試験を実施し,ナノエマルションの流動特性を明らかにすることができた点は,当初想定していた進度に合致している.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様,相変化ナノエマルションの物性測定を引き続き実施する.さらに相変化特性の制御を目的として,過冷却抑制効果を有する物質の探索を引き続き行う.一方,相変化ナノエマルションの熱流動特性の把握のため,管内流動と相変化現象を同時に検討・把握できる装置を新たに作製する.なおこの装置は,前年作製した流動試験装置を改良することで,実現可能である.また当初予定していた通り,解析的な研究に取り組む.具体的には,相変化ナノエマルションの相変化特性をMD法により予測すること,さらに流動試験装置内での相変化特性を数値解析的に予測する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度使用した流動試験装置を基に伝熱試験および流動蓄熱試験が実施できる装置に改良する.そのための装置材料および各種測定装置に研究費を利用する.また前年度同様,相変化ナノエマルションの最適な生成プロトコルを作成するため,各種パラメータを変化させた状態でナノエマルションを生成し,その有用性を明らかにする.さらに前年度の研究成果を広く公表するため,成果発表のための旅費として使用する.
|