2012 Fiscal Year Research-status Report
炭化水素燃焼における排出微粒子の微細構造と酸化機構の解明
Project/Area Number |
24560221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小酒 英範 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50225413)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粒子状物質 / 酸化速度 / ディーゼル機関 / 排気 |
Research Abstract |
燃焼機関から排出される大気汚染物質の一つである粒子状物質(すす)の排出量低減のために各種フィルタが用いられるが,蓄積された粒子状物質を燃焼させフィルタを再生するためのエネルギ低減が課題である.フィルタ再生の高効率化には,燃焼室内およびフィルタ内における粒子状物質の酸化過程を解明する必要がある.粒子状物質の酸化過程は温度や酸素濃度などの雰囲気条件のみならず粒子の微細構造や化学組成にも影響される複雑な現象である.本研究では粒子状物質の酸化機構を解明するために,燃焼機関からの排出ガス中の粒子状物質の微細構造を把握した上で,これを衝撃波管に導き,広範な雰囲気条件下で衝撃波加熱し,その酸化速度を計測する.得られた酸化速度を基に粒子状物質の酸化モデルを構築することを目的とする. 平成24年度は,粒子状微粒子の酸化速度計測装置を作成した.本装置は,粒子を発生させるディーゼル機関,発生粒子の雰囲気組成を調整するための希釈装置.粒子状物質を加熱するための衝撃波管,衝撃波加熱された粒子の直径の時間変化を計測するレーザー散乱光計測装置から構成される.さらに本計測装置を用いて,雰囲気温度1100K~2500K,酸素体積割合2%~12%の条件下で粒子の酸化速度を計測し,得られた酸化速度データを用いて従来酸化モデルであるNSCモデルのモデル定数を修正した結果,温度が1100~1300Kの範囲において酸素分圧と温度が酸化速度に与える影響を再現可能となった.しかし,より高温下では酸化速度に与える温度の影響を表現できておらず,酸素による酸化モデルの改善のみならず,OHによる酸化モデルの改良などが今後の課題であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化速度の計測に必要な実験装置をほぼ完成させ,エンジン燃焼室内の主な反応領域における温度相当下で酸化速度計測を行うことができた.得られた酸化速度を用いて従来酸化モデルのモデル定数を最適化する一連の解析処理系を完成させた.これにより今年度得られた酸化速度データを用いて,酸素による微粒子酸化モデルとして広く用いられているNSCモデルのモデル定数の最適化を試みた.しかしながら,計測精度の信頼性をより向上させる必要が有り,次年度の課題とする. 酸化速度計測精度の向上のために,光学系の改良,希釈装置の改良が必要である.これらの装置の改良により,粒子状物質の酸化速度計測の信頼性を向上させ,モデルの改善精度を向上させる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に製作した粒子状物質酸化速度計測装置について,光学計測の精度向上と,希釈装置の改善を実施した後,粒子状物質の酸化速度に影響を与える微粒子微細構造と酸化条件を変化させた実験を行い,これら因子と酸化速度の関係を明らかにする.微粒子の微細構造については,サンプリングした微粒子を透過型電子顕微鏡により拡大撮影することで計測する.また,サンプルガスの組成は微粒子の酸化速度に影響を与えるため,これを購入予定設備品であるガスクロマトグラフにより計測する. 機関運転条件が微粒子の微細構造に与える影響は,様々な運転条件下で排気から粒子状物質をサンプリングし,TEM観察により旋回半径,1次粒子径,結晶化などを観察計測する.さらに,これらの粒子の酸化速度を酸化雰囲気をパラメータとして計測し,粒子の微細構造が参加速度に与える影響を明らかにする. 得られた計測データを基に各因子の影響を表現できる,新たな粒子状物質の酸化モデルを構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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