2013 Fiscal Year Research-status Report
炭化水素燃焼における排出微粒子の微細構造と酸化機構の解明
Project/Area Number |
24560221
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小酒 英範 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50225413)
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Keywords | 粒子状物質 / 酸化 / ディーゼル機関 |
Research Abstract |
本研究では,ディーセルエンジンなどの内燃機関から排出される粒子状物質の酸化機構を解明するために,燃焼機関からの排出ガス中の粒子状物質の微細構造を把握した上で,これを衝撃波管に導き,広範な雰囲気条件下で衝撃波加熱し,その酸化速度を計測する. 本年度は,昨年度に製作した計測システムを用いて微粒子酸化速度の計測を試みた.計測された酸化速度は従来研究における値に対し数百倍程度である.衝撃波加熱後の微粒子の酸化は過熱直後に急激に進むがその後酸化が止まる.このため,固体微粒子表面での酸化反応が拡散律速に至った可能性があり,上記の従来にない酸化速度の測定値の信頼性も含め,計測精度の検証と,現象の観察が必要となった.このため,今年度は衝撃波加熱中の微粒子をミリ秒オーダーの期間で高速サンプルする装置を新たに製作し,これを用いて加熱途中の微粒子を採取し,電子顕微鏡で観察することで酸化による粒径変化を直接観察することを目指した.さらに,単一微粒子の酸化過程を,エネルギー保存式,質量保存式,反応モデルを連成させ解析する数値計算プログラムを新たに作成し,球対象1次元場における数値解析を始めた.これらの結果はまだ十分に検証されていないが,次年度にこれらの手法を用いて,本装置内での現象を解明することで,微粒子の酸化過程を明らかにする予定である.さらに,排気管から直接サンプルした微粒子の微細構造を透過型電子顕微鏡で撮影観察することで,機関運転条件が微細構造に与える影響を調べた.その結果,燃料噴射圧力を70MPaから90MPaまで増加させると,一次粒子径は5%減少し,旋回半径は3%減少すること,EGR率を30%から50%まで上昇させると,旋回半径は増加し,かつフラクタル次元は3~4%増加することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸化速度の計測結果が従来研究と比較し,非常に高くなっている.この原因が計測精度によるものか,現象の違いによるものかを明らかにする必要が生じたため,当初予定していなかった計測と数値解析を新たに加えることになったため,当初計画より進捗がやや遅れている.しかしながら,追加項目により,現象の機構についてより深く考察することができるため,最終成果は当初予定よりも多くのことが含まれると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,製作した高速サンプリング装置と昨年度構築した微粒子酸化速度計測システムを用いて微粒子酸化速度の系統的な計測を実施する.さらに,今年度作成した微粒子酸化に関する数値解析プログラムを改良し用いることで,酸化速度の時間変化の考察を深め,微粒子の酸化について,物質拡散と化学反応の両面から機構解明を試みる.また,運転条件が微粒子の微細構造に与える影響については,継続して計測を行い,さらに1次粒子内部の構造に関する計測も加える.
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