2012 Fiscal Year Research-status Report
キャビティ内のマイクロ波加熱における加熱特性の高効率化と温度均一化手法の開発
Project/Area Number |
24560223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
赤堀 匡俊 釧路工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (10303182)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱工学 / 誘電体物性 / マイクロ波加熱 |
Research Abstract |
本研究では,多重反射を含むキャビティ内のマイクロ波加熱に対し,(A)加熱物体内における電磁波干渉および反射波抑制による加熱特性の高効率化,(B)電磁波干渉制御および熱拡散効果を利用した熱的制御による加熱物体の温度均一化,(C)誘電特性が急激に変化する相変化過程の最適化,を研究対象として,(1)被加熱物体内における電磁波干渉の制御,(2)被加熱物体の表面および内部構造による反射波の制御,(3)高加熱物体の熱拡散を利用した熱的制御,に基づくマイクロ波加熱の高効率化および被加熱試料の温度均一化の最適化手法を提案することを目的とする. 平成24年度は研究項目(A)加熱物体内における電磁波干渉および反射波抑制による加熱特性の高効率化を理論的に検討した.具体的には,反射波の抑制に対して有効な表面および内部構造を解明するため,(1)被加熱物体の前面および内部に反射波制御用補助物体を設置し,物体表面における反射波の位相を制御する方法,(2)反射波制御用補助物体による反射波の抑制法を検討した.以下に検討事項を示す. 1.キャビティ内のマイクロ波加熱に対する三次元電磁場と熱の複合解析の取り扱いを確立するとともに,物体の誘電物性および設置位置とモード変化を解析的に明らかにした. 2.物体前面および内部に補助物体を設置して透過波の位相を制御した場合の透過波と反射波の干渉実験を行い,共振現象に及ぼす誘電物性および補助物体の影響を示すとともに,物体内の温度分布をマイクロ波出力と関連づけて実験的に明らかにした. 3.補助物体を設置して透過波の位相を制御した場合の透過波と反射波の干渉状態,および,キャビティ内のマイクロ波加熱に及ぼす誘電物性,補助物体の厚さおよび設置位置と関連づけて解析的に明らかにし,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究は概ね順調に進展している.しかし,研究計画で予定していた「反射波制御用補助物体の表面形状変化による反射波の抑制法」の検討については,年度内に研究成果を得ることができなかった.これは表面構造の効果を検討する上で必要となる誘電物性や表面形状などのパラメーターが多く,すべての効果を検討するには至らなかった.現在,表面構造を用いた反射波抑制法について研究を成し遂げるべく,キャビティ内のマイクロ波加熱に及ぼす表面形状の影響を,誘電物性,補助物体の厚さ,設置位置および表面構造パラメーターと関連づけて解析的・実験的に明らかにするとともに,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,反射波制御用補助物体の表面形状変化による反射波の抑制法の検討に加えて,研究項目(B)電磁波干渉制御および熱拡散効果を利用した熱的制御による加熱物体の温度均一化を理論的・実験的に明らかにする.具体的には,加熱物体内の温度均一化に対して,(1)位相制御用補助物体および反射板の設置による電磁波モードおよび電磁場干渉を制御する手法,(2)加熱補助物体から加熱物体への熱伝導効果を利用した熱的制御法を提案する.以下に検討事項を示す. 1.位相制御補助物体および反射板を設置した場合の電磁波モードの変化や電磁波干渉状態を,誘電物性,補助物体の厚さおよび設置位置などと関連づけて明らかにし,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかにするとともに,電磁波の干渉制御による温度均一化手法を提案する. 2.加熱補助として高加熱物体を付加した場合のマイクロ波加熱における熱伝導の効果を,補助物体の厚さおよび設置位置と関連づけ明らかにし,同一強度のマイクロ波に対する最大加熱量を理論的に明らかにするとともに,加熱補助物体からの熱拡散を利用した温度均一化の手法を提案する. 3.透過波と反射波の制御に加えて熱伝導効果を複合的に捉えることにより,最大加熱量および温度均一化に対する補助物体の誘電物性,厚さおよび設置位置の影響を三次元TEモードのもとで理論的に明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は転職に伴う研究室の立ち上げからスタートしなければならず,実施計画書で予定していた物品購入に遅れが生じてしまった.計画書で提案した購入物品については平成25年1月下旬から3月上旬にかけて発注を行っており,若干の遅れはあるものの概ね計画書の通りに物品購入は進んでいる.また,平成25年度は実施計画書の通りに研究を進めるべく,適切な時期に物品購入を行っていく予定である.
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Research Products
(5 results)