2012 Fiscal Year Research-status Report
多分岐構造をもつ流路内の気液二相分配および熱伝達に関する研究
Project/Area Number |
24560229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
廣田 真史 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30208889)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気液二相流 / 熱交換器 / 多分岐 / 分配 |
Research Abstract |
平成24年度は,蒸発器をモデル化した多分岐管を用いて冷媒チューブを断熱した状態と加熱した状態で冷媒系気液二相流の可視化実験を行い,両者を比較することで熱交換が流動に与える影響を検討した.また,冷媒チューブに接触させた加熱用銅ブロックの温度履歴に基づき,冷媒チューブへの液分配状態を推定した.さらに,空気-水系二相流による気液分配率測定を行い,冷媒二相流における液分配状態との整合性を検証した.流路は2本の透明樹脂製水平ヘッダ間にアルミ製多孔管が垂直に並列接続された構造であり,分岐管内の流動は垂直上昇流とした.加熱系実験では分岐管間に挿入した加熱用銅ブロック内に温水を循環させ,定常状態でヘッダ内の流れの可視化観察と分岐管の表面温度測定を行うとともに,温水循環停止後の温度下降率を測定し液分配状態を把握した.断熱系実験では加熱系と同一流路で冷媒二相流の可視化を行った.空気‐水系二相流による実験では,ヘッダ入口における空気と水の流入見かけ速度を冷媒流のBaker線図パラメータと一致するように設定することで冷媒二相流を模擬し,気液分配率を測定した. 加熱系と断熱系における冷媒二相流の可視化結果を比較すると,前者では冷媒チューブから入口側ヘッダ内へ冷媒蒸気が間欠的に逆流する様子が観察されたが,この点を除いては両者の流動様式は定性的に一致した.また,チューブの温度履歴から液冷媒の分配状況を推定したところ,液冷媒は下流側分岐管に偏って分配され,この傾向は冷媒循環量の増加に伴いより顕著となった.こうした冷媒二相流における液分配特性は,空気-水系二相流における気液分配率の測定結果と整合していたことから,ヘッダ入口で冷媒と空気-水のBaker線図パラメータを一致させることで,空気-水二相流により加熱系冷媒二相流における気液分配状態を再現できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,多分岐管の冷媒チューブにおける冷媒の蒸発の影響が気液分配に及ぼす影響を明らかにし,従来断熱系で行われていた実験の合理性について検証することを目的とした.また,加熱系冷媒二相流における気液分配状況を模擬できる空気-水二相流の流入条件を明らかにすることで,実験が容易な空気-水二相流により冷媒二相流の気液分配特性を再現する手法を確立することも目的とした.実験により得られた結果から,加熱系と断熱系における冷媒二相流の流動様式は定性的に一致することが明らかになった.また,加熱系冷媒二相流では液冷媒は下流側分岐管に偏って分配され,この傾向は冷媒循環量の増加に伴いより顕著となることが見出された.こうした冷媒二相流における液分配特性は,ヘッダ入口で冷媒と空気-水のBaker線図パラメータを一致させる条件下で測定された空気-水系二相流における気液分配率の結果と整合していた.この結果から,ヘッダ入口で冷媒と空気-水のBaker線図パラメータを一致させることで,空気-水二相流により加熱系冷媒二相流における気液分配状態を再現できることが明らかになった.以上の結果から,平成24年度の目的とした事項は達成されており,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在使用している多分岐管実験装置に改造を施し,まず断熱系冷媒二相流において各分岐管へ分配される気相と液相の質量流量の測定を計画している.試験流路は現在の装置と同様に直線ヘッダに10本の枝管が垂直に接続されている透明ポリカーボネート製多分岐管とし,分岐管にはまず平滑な偏平流路を用いて気液分配率の測定と同時に流動状態の可視化観察も実施する.この試験流路を冷媒循環装置の膨張弁直後に設置して,流路に気液二相状態の冷媒を供給する.ヘッダから各分岐管へ分配された気液二相状態の冷媒を冷却して凝縮させ,その際の熱バランスと冷媒の質量流量からの分岐管内を流れる気相流量と液相流量を測定する.また,気液分配率の測定と同時に,ヘッダ内の流動状態を可視化観察する. この実験で得られた冷媒二相流における各分岐管の気液分配率と,空気-水二相流において測定された気液分配率を定量的に比較することで,冷媒二相流における気液分配特性を再現できる流入条件を再度確認し,冷媒系気液二相流を最も良好に再現できる空気と水の流入条件を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は,冷媒系気液二相流において各分岐管における気液分配率測定を行うのに必要な冷媒循環ループの試作費用,試験流路の試作費用,および液冷媒用流量計,冷却水用流量計など測定機器の購入費用として使用する予定である.
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Research Products
(2 results)