2012 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバ型高感度・低侵襲レーザ分光計測に基づく燃料電池の内部診断と輸送制御
Project/Area Number |
24560230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西田 耕介 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00397043)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱工学 / 燃料電池 / レーザ計測 / CRDS |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)における水分管理の問題を解決し、発電性能の改善を図るには、電池内部で生じている物質輸送や反応を包括的に解明することが不可欠である。そこで本研究課題では、光ファイバ型のキャビティ・リングダウン分光法(CRDS)を応用することにより、燃料電池マイクロ流路内の微量な水蒸気ガスを高感度・低侵襲かつin-lineでモニタリング可能な「光ファイバ型CRDS水蒸気濃度計測システム」の設計・開発を行った。本計測システムは、ループ方式のCRDS法を採用しており、光学キャビティとしてカプラ(分配比:90:10)を用いた光ファイバループ(ループ長:200m)を構築し、そのファイバループ内に水蒸気ガス測定用のサンプリングプローブ(光路長:25mm)を配置している。また、光源部となる半導体レーザ(InGaAsP ファブリペロー型レーザダイオード)から発振させた水蒸気に吸収のある高速パルス光(波長:1.392um、パルス幅:500ns、レーザ周期:300us)を光ファイバケーブルを経由してファイバループ内に入射させ、20周回した光のリングダウン波形を受光器(InGaAs APD センサ)で検出することによって、プローブ内に採取した水蒸気ガス濃度を20usの高時間分解能で定量測定できるようにしている。パルスレーザ光がファイバループ内を20周回することにより、実効光路長は 25mm×20周回=500mm まで長尺化されている。 さらに本研究では、上記で開発した光ファイバ型CRDS計測システムを用いて、発電モードPEFCのカソード排ガス中の水蒸気濃度計測を実施した。出力電流密度を0~0.1A/cm2まで5分間隔でステップ状に上昇させると、電流密度の上昇に伴って、カソード排ガス中の水蒸気濃度も増大していくのが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では、燃料電池のマイクロ流路内における微量な水蒸気ガスを高感度・高時間分解能かつ低侵襲で直接計測する手法として、光ファイバ型のキャビティ・リングダウン(CRD)分光法を応用した「燃料電池内部診断用光ファイバ型CRDレーザ分光システム」を開発することを目標としており、当初の目標は概ね達成されたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に開発した「光ファイバ型CRDS水蒸気濃度計測システム」を活用することにより、発電モードPEFC内部の水分移動現象を捉えながら、運転条件や電池材料・構造がセルの出力特性にどのような影響を及ぼすのかを明らかにする。さらに、数値シミュレーションを援用することにより、水分の能動制御機能を有する新規電極構造を開発し、PEFCの更なる高出力化、高耐久化のための設計指針を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
燃料電池の発電実験の際に必要となる物品(ガス拡散電極、高分子電解質膜、水素・酸素ガス)を消耗品として購入する。その他、国内外の研究成果発表のための旅費、学会誌への論文投稿料を計上する。
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