2013 Fiscal Year Research-status Report
微細構造を有する沸騰伝熱促進面による高熱負荷対応小温度差熱交換に関する基礎研究
Project/Area Number |
24560233
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅野 等 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10260647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 勝美 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40420468)
竹中 信幸 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50171658)
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Keywords | 強制対流沸騰 / 核沸騰 / 伝熱促進 / 溶射被膜 / 液ホールドアップ / 静電容量 |
Research Abstract |
電子機器や電力機器の冷却,さらには排熱利用など熱利用効率の向上のためには小温度差での熱交換技術が必要であり,沸騰伝熱促進が求められる.研究代表者らは溶射加工で製作した多孔質伝熱面で核沸騰領域において平滑面に対し約10倍の伝熱促進効果が得られることを狭隘流路内熱伝達実験で明らかにしたが,一方で乾き度0.7あたりで熱伝達率が大きく低下する現象が確認された.熱伝達率は低下後も平滑面と同等もしくはそれ以上の値であったことから熱伝達率低下要因がドライアウトであるとは断定できなかった.溶射皮膜による伝熱促進効果は単相強制対流では得られなかったことから強制対流蒸発の場合,伝熱促進効果は失われ平滑面と同等になる,すなわち伝熱劣化はドライアウトではなく強制対流蒸発への沸騰形態の推移によると考えた.実用上,この熱伝達低下要因の解明と発生条件を明らかにする必要があることから,沸騰様式を明らかにするためボイド率の時間変化を計測した. 平成24年度に製作した静電容量センサを用いてFC72 沸騰二相流実験を行った.静電容量センサで液ホールドアップを計測するとともに,同じ乾き度の条件で断熱二相流と沸騰二相流の液ホールドアップを比較した.これは,液膜内における核沸騰の有無とその液膜構造への影響を評価するためである.その結果,溶射被膜では液ホールドアップは熱流束の影響を受け,沸騰二相流のほうが高くなった.一方,平滑面では熱流束の影響が小さかったことから,溶射被膜では沸騰開始過熱度が小さく高い乾き度,つまり薄い液膜厚さでも核沸騰が得られ,流路中央での気液間のせん断力が大きくなり,液が流路の両側に偏流して減速したため液ホールドアップが増大したと考えられる.特に,高い伝熱促進効果が得られた表面構造が細かい溶射皮膜では,核沸騰による高い熱伝達率が得られる流動条件であっても,部分的なドライアウトが観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,溶射皮膜による核沸騰伝熱促進面における沸騰現象の解明,特に,高乾き度強制対流での伝熱促進効果の低下,サブクール沸騰での限界熱流束向上効果を対象としている.いずれも流動形態に依存すると考えられるが,壁面を透明素材とした流動挙動の観察だけでは,膜厚方向の気泡および液膜構造の把握に対して不十分であった.研究対象の条件では沸騰現象は核沸騰支配であり,その場合,気泡の生成によって界面積濃度は高くなり液が加速されると考えられる.高乾き度の条件では液膜流内で核沸騰が得られるので,液膜を加速するとともに液滴飛散の増大につながる恐れがある.特に,溶射加工面では平滑面に対して高い熱伝達が得られていることから,その傾向が大きいと想定される.一方,サブクール沸騰の場合,溶射加工面では高熱流束条件でも沸騰気泡の合体による大気泡の形成が平滑面よりもされにくいため限界熱流束が向上したと考えられる. 平成25年度は,高乾き度飽和沸騰での伝熱劣化現象に注目し,平成24年度に製作した静電容量プローブで高乾き度条件で実験を行った.沸騰挙動への伝熱面性状の影響,伝熱劣化の要因が明らかとされたことから現在の達成度は,概ね順調に進展しているとした.なお,平成25年度に得られた成果は2014年8月に開催される国際伝熱会議で発表する.
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Strategy for Future Research Activity |
伝熱劣化が計測された高乾き度条件で部分的なドライアウトが確認された.この条件について,液ホールドアップ計測,高速度カメラによる流動挙動観察,の詳細計測をもとに核沸騰とドライアウトが共存現象を解明する. 次に,溶射被膜においてCHFの向上が確認されたサブクール沸騰を対象とし,液ホールドアップの計測を行う.これまでの研究では,CHFに達する直前に,蒸気泡の急成長と急凝縮によって引き起こされる圧力変動が観察され,この現象がCHFのトリガーになったと考えられたが,溶射被膜面では伝熱面からの離脱気泡径が小さく,バルクのサブクール液中で速やかに凝縮するため圧力変動は抑えられ,その結果,CHFが向上した.ここでは,液ホールドアップの変動から,沸騰様相のモードを分類し,CHFに至る現象を明らかにする.
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Research Products
(4 results)