2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代乱流燃焼モデル開発のための燃焼室形状と熱化学条件を考慮した乱流火炎のDNS
Project/Area Number |
24560235
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坪井 和也 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10402398)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 表面科学 / 壁面条件 / 熱化学 / 乱流燃焼 / DNS |
Research Abstract |
本研究は、輸送・発電用燃焼器内で主として起こっている乱流燃焼をより正確に計算でき、モデル定数の修正や付加項が必要であった従来の乱流燃焼モデルに代わり、燃焼器の開発や設計ツールとして利用可能な新たな乱流燃焼モデルを開発するために、従来考慮されなかった燃焼室内の異なる形状の壁面近傍における様々な熱的条件および化学的条件を可能な限り考慮した乱流燃焼場の直接数値計算(DNS)を実行して高精度のデータベースを構築し、その解析を行って、輸送・発電用燃焼器内の様々な形状の壁面近傍での乱流燃焼場の基礎的特性を解明することを目的とする。 化学反応機構としては、気相反応には、水素-空気詳細反応機構を、壁面およびその近傍については、表面反応、吸着、脱離など、壁面およびその近傍での燃焼に重要な化学プロセスを考慮した水素-酸素表面反応機構等を用いた。 異なる形状の壁面近傍での熱的条件ならびに化学的条件を考慮した高精度のデータベースを構築するためには、乱流予混合火炎が十分に進展し、異なる形状の壁面近傍での熱的条件ならびに化学的条件による影響が十分及ぶまで計算する必要があるため、今年度はまず、計算対象を2次元水素-空気乱流予混合火炎とし、計算領域として、平行平板間流れを考え、壁面境界条件については、熱損失を考慮しない断熱境界条件とした。計算領域中に、予備計算により生成された十分発達した一様等方性乱流を満たし、計算領域内で乱流予混合火炎を進展させて、計算結果を随時可視化して、経時的に燃焼状態の変化を調べた。その結果、本研究における計算条件の下では、時間が進むにつれて、計算境界である壁面近傍での乱流火炎の振舞いが変化することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的である、従来の乱流燃焼モデルに代わり、燃焼器の開発や設計ツールとして利用可能な新たな乱流燃焼モデルを開発するために、従来考慮されなかった燃焼室内の異なる形状の壁面近傍における様々な熱的条件および化学的条件を可能な限り考慮した乱流燃焼場の直接数値計算(DNS)を実行して高精度のデータベースを構築するためには、比較的長時間にわたって、壁面近傍の乱流予混合火炎に関連する現象の経時変化を適切に把握する必要がある。本研究で用いる計算手法であるDNSは、厳密な計算が可能であるが、長い計算時間が必要であり、また、当該現象の経時変化が当初予想した範囲を超えていたため、当初の研究実施計画に対するという意味では、やや遅れている状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究で判明した壁面近傍の乱流予混合火炎に関連する現象の経時変化が、当初予想した範囲を超えていたことから、当初の研究実施計画のうち、このことにより関連性の深い壁面境界条件について、熱的並びに化学的条件の影響に関する調査をまず実施する。その結果に基づいて、計算境界条件のうち、壁面とする境界を変更して、実用燃焼器内の幾何的条件を模擬した計算領域における調査を実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の使用計画の通り、本研究の実施に必要なスーパーコンピュータの利用料と、構築したDNSデータベースの保存のためのNASの購入、及び研究成果の発表等に使用する計画である。
|