2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代乱流燃焼モデル開発のための燃焼室形状と熱化学条件を考慮した乱流火炎のDNS
Project/Area Number |
24560235
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坪井 和也 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (10402398)
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Keywords | 表面科学 / 壁面境界条件 / 熱化学 / 熱損失 / 乱流燃焼 / DNS |
Research Abstract |
本研究は、輸送・発電用燃焼器内で主として起こっている乱流燃焼をより正確に計算でき、モデル定数の修正や付加項が必要であった従来の乱流燃焼モデルに代わり、燃焼器の開発や設計ツールとして利用可能な新たな乱流燃焼モデルを開発するために、従来考慮されなかった燃焼室内の異なる形状の壁面近傍における様々な熱的条件および化学的条件を可能な限り考慮した乱流燃焼場の直接数値計算(DNS)を実行して高精度のデータベースを構築し、その解析を行って、輸送・発電用燃焼器内の様々な形状の壁面近傍での乱流燃焼場の基礎的特性を解明することを目的とする。 化学反応機構としては、気相反応には、水素-空気詳細反応機構を、壁面およびその近傍については、表面反応、吸着、脱離など、壁面およびその近傍での燃焼に重要な化学プロセスを考慮した水素-酸素表面反応機構等を用いた。 前年度までに行われた、平行平板間流れにおける2次元水素-空気乱流予混合火炎を対象に、壁面境界条件を熱損失を考慮しない断熱境界条件として得られた結果を踏まえて、今年度は、壁面での熱的境界条件を、熱損失を考慮した等温境界条件として計算を行い、化学プロセスを考慮した壁面境界とその近傍における乱流火炎の振舞いに及ぼす熱的境界条件の影響について調べた。その結果、壁面並びにその近傍において化学的過程を考慮した本研究における計算条件の下では、断熱壁と等温壁で、壁面近傍における乱流火炎の振舞いはかなり異なることが分かった。その際、乱流火炎に及ぼす影響は、本研究における条件下では、壁面における化学的条件よりも、同じく壁面における熱的条件の違いの方が大きい可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的である、従来の乱流燃焼モデルに代わり、燃焼器の開発や設計ツールとして利用可能な新たな乱流燃焼モデルを開発するために、従来考慮されなかった燃焼室内の異なる形状の壁面近傍における様々な熱的条件および化学的条件を可能な限り考慮した乱流燃焼場の直接数値計算(DNS)を実行して高精度のデータベースを構築するためには、長時間にわたる壁面近傍の乱流予混合火炎に関連する現象の経時変化を適切に把握したり、計算境界条件を適切に設定したりする必要がある。本研究で用いる計算手法であるDNSは、厳密な計算が可能であるが、長い計算時間が必要であることに加え、当該現象の経時変化が当初予想した範囲を超えていたことや、計算境界条件の取扱いに想定以上の困難さが伴ったため、当初の研究実施計画に対して、やや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、熱的並びに化学的条件の影響に関する調査が概ね完了したため、その結果に基づいて、計算境界条件のうち、壁面とする境界を変更して、実用燃焼器内の幾何的条件を模擬した計算領域における調査と、物質拡散に対する熱拡散の比であるLewis数を変更した調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度までの研究の進捗状況がやや遅れていることに伴い、当該年度までの各費目における支出もやや抑制されたため。 交付申請書において当該年度までに各費目で予定されていた支出に加え、次年度に各費目で予定されていた支出を行う予定である。
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