2012 Fiscal Year Research-status Report
化合物半導体結晶成長安定化のためのダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
24560244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
菊田 和重 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90214741)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / 伝熱 / 結晶成長 / 可視化 / 旋回流 |
Research Abstract |
GaAs単結晶成長における熱・物質移動現象の解明を目的として,融液の複雑な流動現象を明らかにするために,可視化実験装置を用いて成長装置を模擬したるつぼ内の融液の流動観察を行った. 可視化実験は,るつぼを模擬したビーカー内にGaAsを模擬した水と封止材である酸化ホウ素を模擬した機械油を用いて行なった.トレーサー粒子にはGlass Hollow Spheresを用いた.実験装置は成長装置と同様に加熱ができ,模擬結晶とビーカーがそれぞれ独立して回転する構造となっている.今年度は可視化観察に重点を置き,るつぼや結晶の回転数を変えたほか,融液の量も変化させて詳細な可視化実験を行った.融液は,結晶とるつぼのそれぞれの回転により生じた遠心力による強制対流と加熱による自然対流が共存する場となる.それに加えて固体の結晶が融液中に存在し,そこに大きく粘性の異なる封止剤が融液にふたをしているため,極めて複雑な挙動を示す. 実験では,融液の量を変化させた時に,回転による強制対流と回転を止め熱のみを加えた自然対流のそれぞれの影響について詳細に可視化した.その結果,融液の量の違いによるそれぞれの流動について確認することができた.また,それぞれの流れ場において,固体の結晶が存在することによる違いや結晶がるつぼと同方向に回転する場合と逆方向に回転する場合の流動の違いも明らかにすることができた. 以上,本年度の研究により可視化手法を確立できたほか,融液の流動特性をある程度明らかにすることができたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に複雑な挙動を示す流動場において,精度の高い可視化手法を確立できたことは今後の展開に欠かせないものとなった.速度の定量化を行う際にも,無次元数を揃えるに際にも精度の高い可視化手法が必要だからである.本年度の大半の時間は精度の高い可視化手法の確立に費やしており,多くのノウハウを取得することができた.また,数多くあるパラメータのいくつかを固定し,個別の影響を確認することができたのは,それぞれの因子が複雑に絡み合う系での結果を検討する場合に,非常に重要な結果であると考えている.これらのことを概ね達成できたので,順調に進展しているものと評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの確立できた可視化手法とこれによる結果を基に,結晶成長に関わる諸因子の影響を特定する.そのためには,流速ならびに温度の定量化を試みる.また,回転レイノルズなどの無次元数の違いによる流動場の可視化観察を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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