2012 Fiscal Year Research-status Report
固体高分子形燃料電池電極面内劣化要因分布の解明とスタック内劣化セル診断法の確立
Project/Area Number |
24560247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
杉浦 公彦 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00249814)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エネルギー利用 / 燃料電池 / 過渡応答 / 特性診断 / PEFC |
Research Abstract |
同一電極面内劣化要因分布を解明することと診断法の精度向上を図るために,供給ガス濃度や生成水分圧変化が抽出できるようにガス流路に沿って4分割したセパレータと,電流密度分布や温度分布の違いを抽出できるように電極を「田」の字型に4分割したセパレータを試作した. ガス流路に沿って分割したセパレータを用いて、PEFC の標準発電モード(電池温度:70℃~80℃,ガス利用率Uf=40~70%, Uox=40~60%)における各分割電極の過渡応答を取得したところ,一般的な電流密度分布や温度分布と活性化分極や拡散分極を示すパラメータの振舞いと大きく異なっていた.そこで,4分割セパレータセルを検証したところ,各分割部における内部抵抗の差が大きく反映されていることが分かった.そこで,実験開始時の各分割部における内部抵抗で補正を行って劣化診断を行った結果,一般的なPEFCの反応分布と診断パラメータの振舞いが入口部を除いてほぼ一致することができた.入口部では,加湿器や配管の保温の影響が出やすいために,今後,さらなる検証を行っていく必要がある.また,これまではアノードとカソードの各分極を区別するために,診断法に各極の等価回路を用意して診断を行ってきた.そのため,診断方法が複雑で,評価セルの電圧の振れなどの影響によって診断精度が落ちていたことが明らかになった.また,これまでの診断結果よりアノード側劣化のPEFC性能への寄与率はカソードに比べて低いことが分かっており,ENE-FARMメーカー担当者からもアノードにおける劣化はほとんど生じ無いという意見を得たことから,診断精度の向上を図るためにカソード側のみ診断できるように診断法を改良した結果,4分割セルにおいてもカソード側の各分極の影響を診断できることが分かった.今後,この診断法を用いて4分割セルの入口部の振舞いも含めて,診断パラメータ尺度を確定する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)分割セパレータの作成は予定通り終了し,現在,このセルを用いて診断尺度の確立を行っている. (2)標準発電条件における局所劣化診断については,4分割セパレータの各分割セルの内部抵抗の違いが,診断結果に大きく影響を及ぼすことが明らかとなり,この内部抵抗の影響の除去方法を模索していたため,予定よりもやや遅れている.しかし,診断法プログラムの修正によってこの問題を解決できたため,今後,急ピッチで進めていく予定である. (3)プラギングおよびフラディングの水管理問題による劣化要因分布については,(2)の診断法が確立されていないために未実施である.しかし,各種GDLを用いたMEAは既に作成し,通常セルでの特性評価は終了,GDL変更によるプラギングおよびフラディング現象を変更できることを可視化セルを用いて検証済みである. (4)アノード側の活性化分極の劣化についてはほとんど生じないことから,診断法からアノード側の等価回路を抜いた形で,カソードの劣化診断の精度を向上させるようにプログラム変更をした. 平成25年度の研究計画2.(1)の4セルスタックについては,約13cm2x4セルスタックを既に設計製作を終了し,現在,診断法を適用できるように,測定のための各セルの電流・電圧端子の追加などの簡易なスタックの改造を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の(2)に関しては,分割セルの内部抵抗差による影響は,ソフト側で補正することで解決し,これに伴う診断法の改造も行った.現在,入口部の分割セルが加湿器や配管温度による影響を受けないように実験装置の改善を行っており,5月中には完成する予定である.そこから,標準発電条件における局所劣化診断パラメータ尺度を確立させる.また,各種実験により各分極とセル内の場所との相関をとっていく予定である. 上述の(3)に関しては,既に検証用MEAの作成および検証は終了しているため,上記の尺度が決定次第,実験を行い,プラギングやフラディングのセル内劣化分布についての再現性をとっていく.同様に,(4)におけるカソード側活性化分極についても再現性をとる予定である. また,スタック各セルの過渡応答から劣化セルの診断をするために,4分割で用いた診断器をベースに作成することで実験開始までの準備期間を短縮するとともに,平成25年度の研究計画2.(3)のスタック用評価台を新たに作成することで,スタック診断と4分割診断を同時進行させることで研究の推進を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度ではスタックの標準的な診断が行える評価装置を作成し,スタック診断法の確立を行う.平成26年度ではこの評価装置をベースに,スタック内各セルの温度および流量を変更できるように,冷却装置や加熱装置を追加するための物品費およびセル用MEAなどの消耗品購入費用として90万円の予算を計上している.また,本研究の成果報告をFuel Cell Seminarで報告するための出張旅費や論文作成の必要経費を合わせて計上している.
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