2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560253
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂本 秀一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40211932)
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Keywords | 吸音材料 / バイオマス / 稲藁 / 古紙 / リサイクル |
Research Abstract |
「吸音材の専有体積を半分にする」ための研究を、古紙を再利用した吸音材料について継続して行った。断面積を漸進的に絞った吸音材料における実験結果は学術論文誌に掲載された(雑誌論文1)。平成25年度は主に、理論解析を行った。紙製試料特有の隙間のばらつきの影響を避けるため、紙と同じ厚さのステンレス薄板を用いた資料を製作し、理論解析値との比較に用いた。断面積を漸進的に絞った吸音材料における理論解析を行い、それに基づく計算を行った結果、実験結果とよい一致が見られた。また、紙製試料における寸法のばらつき効果についてもステンレス製試料と比較を行うことにより、明らかにすることが出来た。これらの結果については、学会で口頭発表を行い(学会発表2)、学術論文誌に投稿し掲載が決定した(雑誌論文4)。さらに、紙の隙間の断面積を奥行き方向と横方向の両方に漸進的に絞った吸音材料における理論解析も行った。これについては、学術論文としてThe Scientific World Journal誌に投稿中である。 「構造の音響特性への影響因子の切り分け」は、細い円管に関する吸音率や透過損失に関するシミュレーション結果が、学術論文誌に掲載された(雑誌論文2)。平成25年度には、正三角形断面の細管、および3つの円柱に挟まれた隙間、について理論解析を行い、実験結果と比較を行った。正三角形断面の細管については、学術論文誌に投稿し掲載が決定した(雑誌論文3)。3つの円柱に挟まれた隙間、については学会で口頭発表を行い(学会発表3)、学術論文誌に投稿中である。 稲藁を用いた吸音材料については、斜めに配置するインピーダンス測定管に関する結果について、学会で口頭発表を行い(学会発表1)、学術論文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古紙を利用した吸音材料については、前項で述べたように、平成24年度中に実験的研究で多くの成果が得られ、平成25年度中に理論解析によるシミュレーションが可能になったところである。また、平成25年度の後半では、紙同士の隙間の寸法のばらつきや紙のたわみによる吸音率の変化をシミュレーション出来るようになった。 「構造の音響特性への影響因子の切り分け」は、理論解析の進捗が予定を上回ったため、細い円管に関しては平成24年度中に吸音率や透過損失がシミュレーション出来るようになった。また、稲藁を束ねた際の異形の隙間についても、シミュレーションを試みた。始めに正三角形断面の細管について、次に、3つの円柱に挟まれた隙間、について、平成25年度中に吸音率や透過損失がシミュレーション出来るようになった。 稲藁を斜めに配置することにより、吸音材の実効厚さを増大させる実験を行った。そのためインピーダンス測定管に対して、稲藁を斜めに配置できる装置を機械加工により製作した。実験と、基礎的な理論解析を用いて、60度傾けた稲藁材料は、実効長さが見かけの2倍になることと、傾けない場合の半分の物量に等価であることを証明した。 また、インピーダンス管に入らない300mm四方の稲藁試料の吸音率を粒子速度プローブにより測定することが出来た。一方で、300mm四方の試料では、周辺の床面からの反射波の影響が排除しきれないことが判明した。平成25年度中は四角断面の細管の集合体を900mm四方の大きさで製作し、基礎的な実験を行った。 吸音材表面を被覆する表面材料について、インピーダンス測定管により測定を行った。その結果、薄い多孔質材料では、通気抵抗が吸音特性を変化させる大きな要因であることが示唆された。そのため、通気抵抗測定機を購入し、予備的な実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
稲藁特有の、断面に存在する同心円状の隙間についても理論解析を着手したところである。実験用試料の製作には時間を要するが、順次行っている。 異形の隙間が混在した場合のシミュレーションも、将来稲藁の吸音特性を統合して解析するために必要であるため、まず、円形の細管と、3つの円柱に挟まれた隙間、を複合した場合について、実験並びに理論解析を行う予定である。 吸音材表面を被覆する表面材料について、0.1 mm単位の薄い材料では、音響管による測定値が形状誤差に起因して大きくばらつく。そのため、通気抵抗測定機を購入し、吸音特性が優れた表面材料について測定を行う予定である。 また、バイオマスなどの試料の幾何学的寸法を広範囲レーザー顕微鏡で測定する予定である。測定結果から、稲藁などの隙間の代表的な形状を求める予定である。実験用試料の製作には分解能が荒い物については、3Dプリンタの利用なども検討し予備実験を行う予定である。 また、粒子速度プローブによる斜め入射吸音率の測定については、300mm四方の試料では、周辺の床面からの反射波の影響が排除しきれなかったため、平成26年度は900mm四方の稲藁試料を製作し測定を行う予定である。
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Research Products
(9 results)