2013 Fiscal Year Research-status Report
スポット溶接構造の減衰発生メカニズムの解明と周波数領域モデリング
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24560257
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鞍谷 文保 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00294265)
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Keywords | 振動工学 / モード解析 / 有限要素法 / 減衰 / モード形状 / 接触解析 / エネルギー散逸 / すべり摩擦 |
Research Abstract |
平成25年度は,平成24年度に引き続き,スポット溶接構造やボルト締結構造などの平板が部分的に重なる構造を取り上げ,その構造に特有な減衰特性の予測法を検討した.さらに,振動特性評価が容易な周波数応答解析に適した接合部の有限要素モデルについて検討した.減衰特性の予測については,平成24年度に接触解析を用いて接合接触部の摩擦によるエネルギー散逸を推定し,モードごとの減衰を算定する方法を提案した.提案した方法で推定したモード減衰比を実験結果と比較したところ,実験値より大幅に小さくなった.この原因として,接合面に付与する面圧を考慮していないことが考えられた.そこで平成25年度では,接合接触面に付与する面荷重について検討した.接合部のモデル化については,モデル化および解析の負荷を低減するために,平板をシェル要素で接合部をビーム要素でモデル化する方法を検討した. 得られた結果は次のとおりである.減衰特性の予測については,適正な面荷重を設定することでモードごとの減衰を精度よく推定可能である.面荷重の適正値はモードごとに異なり,モード減衰比がモード次数順に大きくならないにもかかわらず,適正値はモード次数順に大きくなる.さらに適正値は角振動数の2乗にほぼ比例することが明らかになった.接合部のモデル化については,被接合平板を等価圧縮体と考えたときのシェル要素上の等価締結座面を多点拘束することで,固有振動数を精度よく再現できることが明らかになった. 従来の研究では,基本曲げモードの減衰特性の推定に留まっていたので,複数モードの減衰特性を精度よく推定できることは,設計段階で従来より広い周波数範囲での減衰評価が可能となり,設計の効率化につながる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,平成24年度に引き続き,スポット溶接構造やボルト締結構造などの平板が部分的に重なる構造を取り上げ,その構造に特有な減衰特性の予測法を検討した結果,基本曲げモードだけではなく,複数モードの減衰特性の推定が可能となった.さらに,振動特性評価が容易な周波数応答解析に適した接合部の有限要素モデルについて検討し,固有振動数を精度よく再現可能な多点拘束モデルの構築が可能となった.したがって,おおむね順調に進展していると評価できる.ただし,モードごとの減衰比は精度よく推定可能となったが,有限要素モデルに組み込み可能な等価減衰要素については,さらに検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,平成25年度に検討した有限要素モデルに組み込み可能な接合部の等価減衰要素を確立し,振動特性評価が容易な周波数応答解析に適した接合部の多点拘束有限要素モデルに組み込む方法を検討する.そのために,接触解析で得られた接合接触部の散逸エネルギーと等価減衰要素のパラメータとの関係を明確にする.さらに,多点拘束有限要素モデルの等価締結座面などのモデルパラメータを適正に設定するための指針を検討し,スポット溶接構造やボルト締結構造などの平板接合構造の振動特性予測評価法を確立する.なお,モデル化の検証においては,複数個の試験片を製作し,固有振動数,減衰比の変動を調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に国際会議で研究成果を発表したが,その旅費および参加登録費は平成24年度未使用助成金を使用したために,平成25年度に次年度使用額が生じた. 平成26年度ではモデル化の検証を行うが,その場合に接合試験片の振動特性のばらつきの把握を検討内容とする.そこで,当初計画通り試験片を複数個製作する.また,有限要素解析ソフトの継続使用を可能とするための費用に使用する.なお,平成25年度未使用助成金は,平成26年7月に国際会議で研究成果を発表するが,その旅費および参加登録費,さらに平成26年4月号に掲載された日本機械学会論文集の論文掲載料に使用する.
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