2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模複雑構造物に適用可能な外力同定を援用したモデルベース診断手法の開発
Project/Area Number |
24560259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204777)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 異常診断 / 逆問題 / モード解析 / 特異値分解 |
Research Abstract |
初めに,逆問題のためのモード解析法の構築を行った.逆問題(診断)においては,応答は限られた点でしか測定されず,測定点数と同じ数の振動モードで応答を展開し,近似的に全自由度の応答を得る.この逆問題のためのモード解析法では,測定点のみは正しい応答が再現されるという特徴がある.理論的な構築は完了したので,少ない測定点数から全自由度の応答を近似した際の誤差評価を数値例によって行った.このとき,数学モデルから得られた厳密な応答に混入させる誤差について検討した.今回は,応答の有効数字を変化させる方法を採用したが,応答の再現精度に及ぼす影響が非常に大きいため,仮想的な誤差の混入を実現する方法については,さらなる検討が必要であることがわかった. 次に,局所的な異常の発生を,仮想的な外力の作用と見なし,異常発生位置の推定を行った.実際に測定された少ない数の応答データから推定する場合,モード解析を利用して仮想的に測定データを増やして推定する場合を,数値例によって比較・検討した.このとき,異常の発生位置,応答データの精度を種々に変化させて,推定精度を調べた.その結果,異常発生位置の違いが推定精度へ及ぼす影響は少なく,同程度の精度の応答データを用いれば,同程度の精度で異常発生位置が推定できることがわかった.また応答データの精度がよい方が,異常発生位置の推定精度は良いことがわかった.しかし,モード解析を利用して仮想的に応答データを増やした場合でも,異常発生位置の推定精度は大きくは改善されなかった.これは誤差を含んだ測定データの作成方法に原因があると考えられるので,今後の検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆問題のためのモード解析法の構築,仮想的に測定点を増加させる方法,およびそれを利用した異常診断について理論的な構築は完了した.数値例において,誤差の混入方法について検討課題はあるが,本研究の本質ではなく,計画通りに進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を進める. 初めに,複数の外力同定問題に対する定量的な評価方法の構築を行う.複数の位置に異常がある場合へ展開するための外力同定法を構築するため,研究代表者が提案した外力分布の同定手法を応用する.この研究課題は,近年注目されている外力の伝達経路解析(TPA)にも強く関係する.そしてはり構造物を取り上げ,構築した手法の適用性を数値的及び実験的に検証する. 次に,これまでに提案した手法を平面構造物(二次元的構造物)に適用する.比較的簡単な診断対象物として平板を取り上げる.その後,空間構造物(三次元構造物)に適用し,最後に結果の総括を行う.構築した,外力同定を援用した機械・構造物の異常診断手法の大規模複雑構造物への展開過程で生じる諸課題の解決手段の完成度,診断精度,適用性などを総合的に検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)