2012 Fiscal Year Research-status Report
心臓弁膜機能を解析するための複数個所同期心音解析法の確立と診断支援システムの開発
Project/Area Number |
24560261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
江 鐘偉 山口大学, 理工学研究科, 教授 (60225357)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 聴診音解析 / 心疾患診断支援 / 信号処理 / データ採集 |
Research Abstract |
本年度ではまず、集団検診の場合も想定して、装着容易で4チャンネル心音を採集できる聴診服の試作開発を行った。20代男女に合わせた聴診服を設計試作し、その実用性を確認した。よりフィットした聴診服の設計については、年齢や身長、体格などを如何に考慮して有効に設計すべきか、今後の課題として引き続き検討していく。 心音データを採集については、主に心室中隔欠損症(VSD)についてデータの収集を行った。心室中隔欠損症は、心室中隔に欠損孔が開いている状態を指す。欠損孔の大きさは、直径が5 mm以下(SVSD)、 5mm-15mm間(MVSD)、 15mm以上(LVSD)に分類される。中隔欠損症の症例データのうちSVSDが7例、MVSDが4例、LVSDが5例を採集した。また、10名の20代の健常者に対して、試作した聴診服を着用したまま、通常安静時や運動直後、睡眠時などの状態下の心音データを採集した。 心音データ解析においては、如何に正確に心音波形を分割し特徴値パラメータを抽出することが後工程の解析にとって非常に大切である。正常心音においてはリズムの正しい心音波形となっているため、心音波形の分割とパラメータの抽出を精度よく行うことができているが、心室中隔欠損症の心音波形がかなり複雑であるため、新たに心音波形を自動的に分割し時間域ならびに周波数域における心音の特徴パラメータを正確に求めるアルゴリズムを開発・提案した。臨床データを用いてその有効性も検証された。さらに、抽出された心音特徴パラメータに対して、サポートベクターマシン(SVM)という判別手法を導入し、心室中隔欠損孔の大きさを分類するための境界線方法を考案し、統計的手法に基づき最適化するアルゴリズムを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で設定した主な研究目標である、聴診服の改良試作と心音データ収集と解析であり、概ね初期の目的に達成している。特に心室中隔欠損症についてデータ解析を進めており、一定の成果が得られているため、特許出願申請の準備を進めているところである。 また、データサーバーに関するハードウェアが大学発ベンチャーの支援により構築した。そのため予定のサーバーのレンタル費用が一部節約できた。しかし、サーバー用ソフトウェアの開発は外部委託すると予想以上の経費がかかることが分かり、現在自力で開発している。そのため、システムの一部が運用できたものの、技術的な問題が残っており、来年度の課題である。 そのほか予定以上に、心室中隔欠損症に関する心音波形がかなり複雑のため、心音波形の自動分割と特徴値パラメータの抽出に関する有効なアルゴリズムを新しく開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、初期に設定された目標と計画に従って、研究を進めていく予定である。具体的には、まずデータサーバーを運用しやすいためのソフトウェアの開発を進めると同時に、データ採集とデータ解析を進めていく。前年度は、心室中隔欠損症に対してデータ解析を主に行ってきたが、今後は他の心疾患の事例や健常者の心臓機能の評価についてさらに進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度では、大学発ベンチャーの支援でデータサーバーのレンタル費用がかからなかったことと、心音データ解析を行うための心音波形分割並びに心音特徴パラメータ抽出を自動的に行うプログラムの開発が新たに必要となり、その開発に時間がかかった。その分、データ解析に予定していた時間がとられ、一部の予算が未使用となった。 次年度では、まずデータサーバー用ソフトウェアの開発、心室中隔欠損症以外の心音データ解析、さらに、心疾患評価支援のための解析方法の開発に予算を充てていく予定である。
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Research Products
(7 results)