2013 Fiscal Year Research-status Report
MRI騒音低減のためのヘッドマウント型アクティブ消音システムの開発
Project/Area Number |
24560280
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
梶川 嘉延 関西大学, システム理工学部, 教授 (30268312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棟安 実治 関西大学, システム理工学部, 教授 (30229942)
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Keywords | アクティブノイズコントロール / パラメトリックアレイスピーカ / 騒音制御 / オーバーサンプリング / FPGA |
Research Abstract |
工場内においては製造機器から90 dB 以上の騒音が発生しており,作業者間のコミュニケーションを妨げるだけでなく,騒音暴露による作業者へのストレス増大を招くことが問題視されている.そこで,我々は工場内騒音の低減を目的としたアクティブノイズコントロール(ANC)システムの実現に向けた研究を行った. ANCシステムでは制御音源として通常のボイスコイル型スピーカを用いていた.しかし,このスピーカでは制御点では騒音低減を実現できたとしても,その他の空間では音圧の増加を招いてしまう.この問題については,超指向性を有するパラメトリックアレイスピーカ(PAL)を制御音源として用いることで改善できる可能性がある.そこで,PALを適用したANCシステムにより演算量を低減しつつ空間内に騒音低減スポットを形成できるか検討を行った.その結果,演算量を削減しつつ高い騒音低減効果を実現するのに成功した. また,参照マイクロホンと誤差マイクロホン間の距離を究極に近づけたフィードフォワード制御に基づくヘッドマウント型ANCシステムの実現についても検討を行った.ここでは,固定フィルタを用いる方法とオーバーサンプリングを用いる方法とを組み合わせることで因果性問題を解決した方法について検討を行った.さらに,一般的な動電型スピーカに比べ,応答速度が速い平板スピーカを用いることでさらに処理遅延を改善できる可能性についても検討した.さらにこれらを処理速度が高速で高いサンプリング周波数で処理が可能なFPGAを利用することでその実現が可能かどうか検討を行った.その結果,わずか5cmの距離までフィードフォワード型ANCを縮めることに成功した.高い騒音低減効果もマイクロホン地点で実現されており,これにより新しいANCシステムの実装に可能性を見出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PALを用いたANCシステムに関してはクロストークの影響を考慮せずとも高い騒音低減効果を実現することに成功した.これは従来のマルチチャネルシステムとは異なった実現方法があることを示唆するもので,当初目指していた低演算量のANCシステムの実現に大きく近づいたといえる.具体的にはPALを用いた両チャネル制御について実機実験を防音室で行った.この時,PAL2台をそれぞれ両耳から1.5 m離した±30度の位置に設置した.両耳においてクロストーク成分を考慮した場合でも考慮しない場合でも安定に動作しており,ほぼ同様の騒音減衰量が実現された.また,誤差スペクトルの比較からも両システムにおいてほとんど差異がないことから,クロストーク成分を考慮せず演算量を低減したANCシステムで十分適用可能であることがわかる. 次にオーバーサンプリングを用いたANCシステムでは,FPGAに実装を行ったシステムの有効性について検討を行った.検討内容としては,様々な角度から騒音が到来することを想定して,騒音源に対して正面および側面を向いている際に騒音低減効果が得られるか検討を行った.測定結果として,誤差マイクロホン地点における誤差信号の周波数振幅スペクトルより,正面を向いている場合は1000Hz以上において白色雑音を約10 ~20dB低減できていた.一方,側面を向いている場合は5000 Hz以上において白色雑音を約10dB低減できていたものの騒音低減効果が低下していることがわかった.以上より,FPGAに実装を行ったオーバーサンプリングを用いたANC システムにより因果性を満たしつつマイクロホン間の距離を5cmまで縮めることができた. 以上の成果は当初予定した研究計画に沿って着実に得られた成果であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
PALを用いたANCシステムでは,今後はCase(1,2,2) ANC システムにHybrid 制御を組み合わせたCase(1,2,2) Hybrid ANC システムについて検討し,より安定に動作し,より高い騒音低減効果が得られるシステムの実現を目指す. FPGAに実装を行ったオーバーサンプリングを用いたANC システムにより因果性を満たしつつマイクロホン間の距離を5cmまで縮めることができた.しかし,側面などから騒音が到来する場合には因果性を必ずしも満足できない場合もあり騒音効果が劣化することもわかった.よって,今後は固定フィルタとオーバーサンプリングの統合システムをFPGAに実装することでさらに処理遅延を低減することや,より適切な音響デバイスを模索する予定である. 以上の検討を進めることで最終年度において当初目指していたヘッドマウント型ANCシステムを実現することを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定したANCシステムのための各種音響装置および音響デバイスについて所持している類似の音響装置及び音響デバイスで当該年度の研究が遂行可能であったため. 研究が順調に進んでいるため,これらの成果を国内外の学会で積極的に発表するのに用いる.また,ジャーナル論文への掲載費用などにも充当する予定である.
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Research Products
(14 results)