2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
花島 直彦 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40261383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 湿原調査 / 移動ロボット / 丈長密生植物 / 螺旋機構 / モーションキャプチャ / 運動解析 / 回転機構 |
Research Abstract |
湿原保全のためのフィールド調査は人手で行われており,大変な労力と時間を要する.我々は,湿原特有の丈長植物の密生地を,湿地に埋没することなく,草をなぎ倒さずに進める機構として,二重螺旋推進機構を提案している.この機構の実現には螺旋パイプの外周を保持しながら回転させる仕組みが必要であるが,回転中の螺旋パイプの姿勢変動や動力伝達におけるすべりなどの課題があった.本研究では,これらの課題を解決するための回転機構の研究開発が目的である. 今年度は,前年度に試作した既存の螺旋パイプ回転装置による実験結果の解析を行った.この装置は螺旋パイプの外周を近接した3点でグリップし,そのうち1点を駆動輪として螺旋に回転トルクを与えている.螺旋パイプの片側を持ち上げたとき,螺旋パイプの他端は地面に接する構成(構成A),回転装置と同構造の支持装置とにより螺旋パイプを持ち上げ,地面に接すること無く回転する構成(構成B)について,運動学モデルを構築した. 当初は構成A,Bについて,力学シミュレーションソフトウエアを使用して解析する予定であったが,実システムにおける考察を優先し,モーションキャプチャーシステムを用いて螺旋パイプの運動を計測することにした.モーションキャプチャは光を反射する球形のマーカーを複数のカメラで撮影し,その三次元的な位置を瞬時に計算する装置である.螺旋パイプの特定の場所にマーカーを3つ工夫して取り付けることで,螺旋パイプの位置と姿勢を計測する手法を確立した. 室内実験での結果,構成が簡単で軽量である構成Aは,地面との接触状態により,螺旋パイプ姿勢が変動したが,回転自体は可能であった.構成Bは構成Aに比べて姿勢変動は少ないが,螺旋の形状誤差に起因する姿勢の傾きが生じることがわかった.以上により螺旋パイプの姿勢維持機構とアクチュエータの動力伝達機構の動的な配置について知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
螺旋パイプの回転装置について運動学モデルを構築し,これに基づき解析を行ったので,この点については目標を達成できた. 当初の計画では,構築したモデルをもとに,力学シミュレーションソフトウエアを使用して解析する予定であったが,実システムにおける考察を優先し,モーションキャプチャーシステムを用いた実験的な解析に切り替えた.この点は当初計画とは異なるが,研究の方向性は同じであり,さらに,実際の螺旋パイプの運動を計測して解析することで新たな知見を得ることができた.よって研究の達成度としては,概ね目標通りといえる. 螺旋パイプ回転装置における動力伝達機構の動的な配置に関する考察については,モーションキャプチャを用いた解析手法の構築に時間が取られてしまったため,実施できていない.しかしながら,これとは別なアプローチとして実施した,持ち上げ機構を用いた螺旋パイプの移動については研究成果があり,持ち上げ機構の配置と回転能力に関する知見を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究実績より,ある程度の静的な環境が保たれていれば,既存の螺旋パイプ回転装置により,螺旋パイプを安定して回転できることがわかった.しかしながら,実環境あるいはロボット本体に搭載した状態では安定して回転できるか不明である.また,二重螺旋推進機構においては,ロボットが螺旋の上を移動する機構が必要であり,この点に関してはまだ実証実験がされていない.そこで,平成25年度は,室内に湿原移動ロボットの1/2モデルと模擬環境を構築し,より現実に近い状態で実験をできるようにする. 1/2モデルのロボットの本体下部に,直動アクチュエータを2つ直交させ,その下に回転関節を配置することで,2次元平面内における位置と向きを自由に決められる機構を実現する.その下に螺旋パイプの上に立脚するための支持装置を備える.これらのアクチュエータを制御することで,ロボットの移動やバランスの維持を実現する.平成24年度にはこれらの装置を組み上げるための櫓を既に設置した.平成25年度のスケジュールとしては,1/2モデルのロボットの設計に半年程度,部品の発注と組み立てには3ヶ月程度かかる見通しである.その後,制御システムを完成し,平成25年度末には螺旋の上をロボットの移動実験を行う. 平成26年度には,1/2モデルのロボットを用いた螺旋パイプ回転実験を行い,問題点を明確にした上で,駆動点および支持点の位置を動的に変化できる,新しい3点支持回転機構を設計,製作にとりかかる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費および謝金として20万円計上していたが,学内経費からの支払もあり,未使用額が生じた.次年度の人件費および謝金を当初は5万円と計上していたが,不足する可能性があり,未使用額はこの費目に充当する.
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