2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560285
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 仁 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60376944)
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Keywords | ソフトメカニクス / 水力学的骨格 / 柔軟アクチュエータ / 対地適応変形 / 繊毛移動ロボット |
Research Abstract |
本年度は主に柔軟な袋状構造による繊毛アクチュエータとロボット本体の作成を行った。アクチュエータは新しくZ字形状を持つものを開発し、1気室のみで有効打と回復打を行うこととした。アクチュエータ先端の軌道を高速度カメラで撮影したところ、ロボット本体から見てヒステリシスループを描いており、有効打で環境に対して駆動力を発揮して、回復打の際には環境に力を伝えずに初期形状に戻ることを確認した。現在のアクチュエータが一回のストロークで推進できる距離は、全長15mmに対し、3mmほどである。 このアクチュエータを駆動するために、昨年度から継続して開発を行っている機械式の大流量の多方向弁の試作も行った。こちらの弁は最大流量が約10 l/min このアクチュエータを1列に4個とりつけたアクチュエータアレイを、厚さ2mmのアクリル板に4列取り付けたところ、最高速度は21mm/sであった。 また、今年度あらたに開発した繊毛ロボットは、柔軟な本体構造に柔軟な繊毛アクチュエータを搭載したものであり、通常の本体高さより狭い地形に対して適応変形しながら通過することを実験で確認した。 さらに、厚さ2mmのアクリル板の両面に繊毛アクチュエータを取り付けたロボットにおいて、2枚の壁を垂直に向かい合わせた狭い地形についても、はさまれながら垂直に登って行く動作を実現した。今後は本体を硬い板でなく、柔軟で内圧によって幅を変化させられる袋状構造で作成し、直径が異なる配管などでも垂直に登って行くロボットを開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である繊毛アクチュエータの試作品の性能は良好で、1気室で確実性の高い有効打と回復打が行えている。 大流量の機械式多方向分岐弁の開発も順調で、同じサイズ、重量を持つ市販のバルブに比べて、3~5倍の流量を確保できている。 このような弁は移動ロボットに搭載するための流体アクチュエータにとって非常に重要であり、今後他のアクチュエータに対しても応用が期待できる。 また、今年度あらたに開発した繊毛ロボットは、柔軟な本体構造に柔軟な繊毛アクチュエータを搭載したものであり、通常の本体高さより狭い地形に対して適応変形しながら通過することを実験で確認した。また、垂直な壁に挟まれた状態でもアクリル板の両面に繊毛アクチュエータを貼りつけた形態のロボットで登って行く動作を実現した。 これは当初の予定には含まれていなかった性能で、当初の計画以上に進展が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のZ字形状の繊毛アクチュエータは、1気室で有効打と回復打の両方を高い信頼性で実現できる。このように本アクチュエータの性能は優れていると考えられるが、製作には熟練を要するため、今後容易に作成できる方法、あるいは新しい構造を開発する予定である。 また、垂直な配管など狭い場所について、本体の内圧を加減することによって繊毛への接地力を調整することで登っていく動作を実現する予定である。この動作の実現のためには、繊毛の接地圧をセンシングしながら袋状構造で構成された本体内部の圧力を制御する必要があり、ハード、ソフト両面の開発が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
投稿した英語論文の費用を科研費より支出予定だったが、東工大の支援制度によってこの出費をしなくて済んだため。 今年度の論文投稿費用に使用する予定。
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