2012 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実感覚提示と作業反力提示によるロボットハンドの遠隔操作
Project/Area Number |
24560293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 太 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (50314042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 裕之 神戸大学, その他の研究科, 助教 (30470256)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロボットハンド / 遠隔操作 / 作業反力提示 |
Research Abstract |
操作者の手腕によるロボットハンドの遠隔操作において、操作者にロボットハンドの作業感覚をいかに提示するかは、その作業の成否に関わる重要なことである。本研究は、ハンド/アームロボットの遠隔操作において、操作者に操作感覚を提示するシステムを構築することを目的とし、具体的な研究項目として,①作業反力提示装置の開発、②拡張現実感技術を用いた把持物体提示装置の開発、③システム統合化、を実施している。平成24年度においては、上記研究項目の内、主に作業反力提示装置に関する研究を行った。研究前年度までに実施してきた2指用の作業反力提示装置を拡張し、5指用提示装置の試作を行い、検証した。5指用提示装置は、手甲部、親指部、人差指部、中指部、薬指部、小指部の6部分により構成され,操作者の親指の末節に1点,親指を除く4指の指先及び指の基節にそれぞれ2点の計9点に対して力覚提示を行っている。また、形状記憶合金(Shape Memory Alloy: SMA)を活用したSMAクラッチブレーキを搭載しており、SMAクラッチブレーキを貫通する力伝達ワイヤにより、指の屈曲を拘束することができる。ここで、ロボットハンドを用いた5指把持実験を実施し、操作者に操作感覚を提示することで操作性の向上が図れたことを確認した。一方、SMAクラッチブレーキの応答速度向上のため、SMAの温度を温度センサで計測し、その温度に基づいて通電を制御する制御回路および制御ソフトウェアを作成する予定であったが、温度センサにおける物理的な制約および温度センサの応答特性の制約のため、第2案であるSMAにかかる電圧計測によるSMAクラッチブレーキ制御を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ハンド/アームロボットの遠隔操作において、操作者に操作感覚を提示するシステムを構築することを目的とし、具体的な研究項目として,①作業反力提示装置の開発、②拡張現実感技術を用いた把持物体提示装置の開発、③システム統合化、を実施している。平成24年度においては、上記研究項目の内、作業反力提示装置に関する研究を計画通り実施し、5指用提示装置を試作、検証した。一方、温度センサ計測によるSMAクラッチブレーキ制御は物理的な制約および温度センサの応答特性の制約のため問題が発生したが、第2案であるSMAにかかる電圧計測によるSMAクラッチブレーキ制御を行なった。以上のように、現在までおおむね計画通り研究は遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで作業反力提示のため2指用の作業反力提示装置を開発してきたが,作業反力の提示だけでは、体性感覚から得られる手腕の状態と視覚から得られる手腕の状態とに矛盾が生じ、操作者による直感的な操作の妨げとなった。操作者である人間は一般に視覚から多くの外界情報を得ていることから、操作者の視覚に拡張現実感技術を用いて仮想把持物体を作成し、提示する。把持物体提示装置では、あたかも自身の手で把持物体を把持しているように認知することを目指し、拡張現実感(AR)技術を用いる。ARは、現実環境に付加情報としてバーチャルな物体を電子情報として合成提示することを特徴としており、AR技術を活用することにより、自身の手の先に把持物体があたかも存在するように本装置で提示することが可能となる。初めに、仮想物体を適切な位置に提示するため、3Dモーションキャプチャにより、操作者の手の位置を計測する。次に、操作者の手先位置が検出可能となった後、仮想物体をヘッドマウントディプレイ上に提示する提示用画像生成を行う。 把持物体提示装置の作成後,作業反力提示装置と把持物体提示装置を用い,システム統合化を行う。作業反力提示装置における応答速度の向上および視覚への把持物体提示により、操作者はハンド/アームロボットと把持物体との接触情報や相対位置情報を認識することが可能となり、ハンド/アームロボットの容易な遠隔操作が可能である。ここで、統合化により、それぞれの装置に不具合が生じる場合には、開発に立ち戻り、改良を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の物品費において、予定通りに3Dモーションキャプチャを購入する。これは、仮想把持物体の提示において人間の手の位置および姿勢を精度よく計測するためである。旅費においては、分担者とともに海外出張を計画しており、当初の予算より増加が見込まれる。増加分については、後に記す次年度使用額を充当する。人件費・謝金、その他においては、計画通り支出を予定している。 平成24年度においては、力覚提示デバイスの購入を予定していたが、近年の3Dプリンタの発展に伴い、工作費の低価が可能となり、当初予定した金額より低い額で購入が可能であった。そのため、次年度使用可能な研究費が発生した。この研究費は、先に記したように、旅費に充当し、成果の公表を行う。
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