2013 Fiscal Year Research-status Report
空気式多自由度ロボットを用いた筋電位信号に基づく統合型手首リハビリ支援装置の開発
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24560295
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高岩 昌弘 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60243490)
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Keywords | 手首リハビリテーション / 空気圧アクチュエータ / パラレルマニピュレータ / 筋電位 |
Research Abstract |
これまで提案している筋電位に基づく手首リハビリテーションにおいて,本年度は患者の疲労度の評価と疲労に基づくリハビリ動作の調整機能について検証した。 筋肉が疲労すると,筋電位信号の振幅自体が徐々に増大することと,筋電位信号の周波数特性が徐々に低周波数域に移行していくことが広く知られている。本研究では,筋電位信号を取得し,これをリアルタイムに周波数解析する手法をプログラムに実装した。ここでは,制御用OSとして用いているLinuxのマルチタスク環境を利用し,リハビリ制御を実施しているカーネル空間と,周波数解析を実行するユーザー空間内のプロセスを共有メモリを介してデータの授受を行うことで実現した。これにより,リハビリ訓練を実施しながら筋疲労が定量的に評価できる仕組みを構築した。 実験により実施した結果,筋に一定の負荷をかけ続けるような等張性の運動においては筋電位の平均周波数が低周波数域に徐々に移行していくことが確認された。しかし,負荷と無負荷を繰り返すような動作においては明らかな周波数変化を確認することができなかった。しかし,この場合でも,筋電位の振幅自体は徐々に増加していることが示されていることから,運動の種類に応じて筋疲労の評価手法を適切に対応させることで,十分定量的に筋疲労を評価することができることが示された。これにより,例えば平均周波数や振幅値に閾値を設け,これを越えることで負荷を軽減するなど,患者の状態に応じた訓練機能の実現可能性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に示した筋疲労の評価とそれに基づく訓練動作の調整機能の実現については,リアルタイムな筋電位信号の周波数解析と筋電位信号の振幅評価により概ね達成することができたと考えている。負荷と無負荷を繰り返すような動作においては負荷時のみを抽出して周波数解析を行うことにより,より精度の高い評価が可能と思われ,今後の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は理学療法士の訓練シミュレータとしての応用を目的として,本装置を患者の物理モデルとして機能させる研究について行う。具体的には患者の手首を模擬するためにマネキンの手首を力センサーを介してマニピュレータに実装し,マニピュレータにおいて患者手首の機械特性をインピーダンス制御により実装することで,患者の物理モデルを実現し,訓練シミュレータとしての応用を目指す。本研究では手首の機械特性を如何にマニピュレータに実装するかという点が重要であるが,本研究では,機械特性を外部から容易に調整できるためのインターフェースを用意し,熟練した理学療法士が自身の経験に基づいて機械特性を調整していく機能を実現する予定である。
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Research Products
(3 results)