2012 Fiscal Year Research-status Report
2足歩行機構のパッシブな安定性を実現する足底形状の理論解明と人・ロボットへの応用
Project/Area Number |
24560299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
三上 貞芳 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (50229655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 和幸 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (90550517)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 受動歩行 / 歩行解析 / 歩行ロボット / 靴 |
Research Abstract |
H24では2足受動歩行の安定性を改善する足底形状の設計理論の導出を目的とし,以下の成果を得た. (1) 平面内での歩行を対象としたスティックモデルの受動歩行の数理モデルに,新たに支持脚期に支持脚と接地面となす角に比例して,引き起こし力を支持脚に与えるような項を導入した数理モデルを導出することができた.これにより,平面内での歩行での足底抑制形状の効果をシミュレートする数理モデルを明らかにすることができた. (2) 構築した数理モデルを用いて,足底の先端部の抑制の強さと,それに応じて歩行可能な斜面の傾斜角の範囲,および歩行が継続できた回数を網羅的に調べることができた.その結果,足先先端部への抑制力が強いほど,歩行開始可能な斜面の斜度は大きくなるが,それと同時に歩行可能な斜度の範囲が拡大してゆくことが確認できた.さらに斜度の拡大は抑制力の対数に比例する傾向が読み取れた. (3) 上記の成果により,歩行対象とする斜度,つまり支持脚の過剰な倒れこみに対して,適切な引き起こし力を明らかにできる見込みが立った.引き起こし力は,足底先端部の床接地位置により生じるモーメントに対応できる.よって,歩行する斜度それぞれで適切な引き起こし力を発生する位置に足底が接地するような連続形状を足底形状として描けば,広い範囲で安定性を確保できる足底を設計できることになる. (4) この発見により,当初の目的である安定化足底の設計理論はほぼ明らかになった.これにより次年度は足底曲線の具体形の導出を行うことができる. これらの理論構築の成果に加え,今年度は従来不可能に近かった膝つき3次元受動歩行の安定な継続歩行が,足底の抑制の効果によりどの程度改善されるかを,歩行器を試作して検証した.その結果,特定の角度ではあるが,数分間の連続歩行を実現することができ,足底抑制の効果の高さを検証することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は,歩行安定化を促進する靴底形状の設計に向けて,まず準備として,脚の倒れこみに応じて足底から反力を発生する受動機構の効果を数理的に解析できるモデルと理論を明らかにすることであった.この目標は,(1) 平面内歩行について,足底抑制を導入した理論モデルの導出に成功したこと,(2)このモデルの数値シミュレーションにより,歩行面の傾斜角と足底抑制力との関係を導出するめどが立ったこと,(3)足底抑制力と,靴底の接地位置との関係により,適切な足底曲線を設計する指針が見えてきたこと,により,当初の目的は十分に達成できたものと判断している. 加えて,いままで明らかではなかった,靴底抑制の効果が3次元膝つき受動歩行器でも有効であるかを確かめる研究も進めることができた.試作機を構築し,数分間の安定継続歩行が可能なことを確認することができ,実用的な2足歩行ロボットの構成や,人間の歩行においても安定性向上を期待できることを実験的に明らかにすることができた. 以上より,今期の成果は当初の目的を十分達しており,一部計画を上回って進んでいるものと自己判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果により,次年度以降は当初の目的通り,靴底の具体設計に進みたい. 具体的には,まず2次元平面歩行でのモデル化の成果をもとに,靴底曲線の導出を行い,進行方向についての抑制足形状の設計論を確立する.次は数理モデルを3次元歩行へ拡張し,進行方向への抑制だけではなく,横方向への抑制の効果について同様にモデル化を行う. 平面歩行での靴底曲線が導出できたならば,まずは進行方向についてのみ抑制足形状を靴底に実現する試作を行う.その後人間への効果について検証を行ってゆく予定である. 今年度は人間の靴の構造と,その構造が歩行に及ぼす影響について文献や,靴の製造業者とも話し合いを行い調査をすすめてきた.その結果,微小な突起でも下肢に日常とは違う力が加われば,人体に予想外の負担が加わるということを改めて認識することに至った.そのため,今後の研究では,医療現場の研究者との連携が必要だと考えており,次年度以降連携先を探し,研究の完成度を高めたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(繰越金)は861円とわずかであるが,安定化靴の試作の回数を増やす目的で利用したいので,ラバー部材を当初より少し多めに購入することを予定している.
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Research Products
(9 results)