2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大隅 久 中央大学, 理工学部, 教授 (00203779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホイールローダ / 堆積土砂形状 |
Research Abstract |
2012年度は,土砂のモデル化に向けた基礎実験を行い,バケットから土砂が落下する条件,及び落下した堆積土砂が形成する土砂山の斜面角度についての知見を得た。バケットから落下する土砂挙動の動画による観察,及び落下土砂の質量を計測することにより,土砂の崩落が間欠的に発生することを確認した。また,バケット内土砂が崩落する瞬間の斜面角度は,崩落した堆積土砂の斜面角度に見られる安息角よりもかなり大きくなることが明らかになった。そこで,バケット内の斜面土砂が崩落を開始する条件を,バケット内土砂とバケット側面間に働く内力を考慮して求めなおしたところ,ほぼ実測値と一致することがわかった。堆積土砂形状については,これまでシミュレーションではバケット前方,後方の土砂斜面角度が等しくなるのに対して,実験では前方の斜面角度が小さくなることが確認されている。この原因として,バケットから落下した土砂の地面での跳ね返りの影響を確認するため,地面に予め砂利を敷き詰め,跳ね返りの影響をなくした上で崩落実験を行った。その結果,地面の跳ね返りが発生しなくとも,前方の斜面角度が小さくなることが明らかとなった。この他にも,土砂山の頂上は,シミュレーションでは尖るのに対して実験では丸くなっている。さらに,漏斗に砂を入れ,その砂を斜め下方向に落下させると,やはり非対称な砂山が形成されることが確認された。これらの結果より,土砂山形状が非対称となるのは,崩落土砂の初期落下位置が前方に大きく広がる効果,すなわちシミュレーションの初期状態の設定に問題があるのではなく,土砂崩落挙動のシミュレーションに,土砂の動的挙動を組み込む必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度当初の予定では,高速カメラを用いた土砂の個々の粒子の挙動の計測,その他計測システムの準備,土砂挙動のモデル化,その妥当性の検証を行う予定であったが,実験条件の設定,及びカメラの選定に時間を要し,バケット内土砂挙動の計測システムの構築には至っていない。そのため,その計測結果を利用した土砂粒子の挙動のシミュレータへの組み込みが終了していない。一方,土砂のマスとしての挙動に関しては,土砂山形状計測システムの構築とそれによる形状測定,電子秤を用いた崩落土砂量の計測を実施することができ,土砂がどのように崩落を繰り返しているのかを定量的に明らかにすることができた。また,土砂の落下条件を変えたいくつかの実験による基礎データの取得により,これまで利用してきた柱状要素モデルの限界が明らかにしたと共に,モデル化に向けた検討課題を明確化することができた。以上のように,当初計画に対しては,高速カメラを利用した個々の粒子の運動計測,それを基にした柱状要素モデルの修正の部分に関して遅れているが,その他の計測部分についてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度の成果より,これまで利用してきた柱状要素モデルと挙動アルゴリズムでは,堆積土砂形状を正確にシミュレーションすることが難しく,その精度を向上させるためには,土砂の動的な挙動をモデルに組み込む必要があることが明らかとなった。今年度はまず,個々の土砂の落下挙動を実測するためのシステムを早急に完成させ,土砂の運動計測を行うと共に,並行して落下した土砂粒子の動的挙動のアルゴリズムを構築する。そして,計測実験で得られたここの土砂の上体を初期条件として,新たなアルゴリズムによるシミュレーションを行う。土砂挙動のモデルをうまく構築することができれば,所望の土砂山形状を得るためのホイールローダの運動を求める,いわゆる逆問題の解を得るための見通しが立つことから,堆積土砂挙動への動特性の組み込みに注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度に完成予定であった高速カメラを2台用いた崩落土砂の挙動計測システムを早急に構築する。そのための高速カメラの仕様を早急に確定し,購入する。その他,次年度以降,実験に必要な消耗品,学会旅費,及び成果発表への使用を予定している。
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Research Products
(1 results)