2012 Fiscal Year Research-status Report
速度・加速度・接触力に基づくメカニカル安全装置を用いた人間共存型ロボットの開発
Project/Area Number |
24560304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
甲斐 義弘 東海大学, 工学部, 准教授 (00320119)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロボット / 人間共存型ロボット / 安全装置 |
Research Abstract |
少子高齢化などを背景に,医療・福祉や建築・土木・農業,生活支援など様々な分野で,安心・安全な人間共存型ロボットの開発・実用化が望まれている.しかし,ロボットの制御用コンピュータが破損した場合(以下,ロボット暴走時と表現する),ロボットは制御不能となり,人にとって非常に危険な機械になってしまうため,ロボット暴走時の安全性を向上させることが重要である.これまでに,本研究代表者らは,人に対するロボットの安全性の向上を目指し,ロボット暴走時に予め設定しておいたレベルの速度・加速度が発生した場合,機構的にロボットの関節をロックし停止させるメカニカル安全装置(以下,旧型安全装置)を提案してきている.しかし,旧型安全装置では,ロボット暴走時に予め設定しておいた速度あるいは加速度が発生すればそれを検知することが可能であるが,設定値以下でロボットが暴走・誤動作した場合は検知することができず,人に過大な力が作用する可能性がある.そこで,本研究では,旧型安全装置をベースとして,さらにロボット暴走時に予め設定しておいたレベル以下の低速度・低加速度でロボットが人と接触しても,予め設定しておいたレベルの力が人に加わればロボットを停止させる機能を加えたメカニカル安全装置(新型安全装置)を提案し,それを用いた従来よりも安心・安全な人間共存型ロボットを開発することを目的とする.予め設定する速度・加速度・接触力の値はロボットに行なわせる作業に合わせて設定変更可能にする.以上を踏まえて,平成24年度は, (i) 本研究で提案する新型安全装置の詳細設計・製作,(ii) 新型安全装置を搭載した1自由度ロボットの製作およびそのロボットを用いた実験を行った.さらに,(iii) 1自由度ロボットを用いた実験の結果に基づき,提案した新型安全装置の改良および新型安全装置を用いた人間共存型ロボットの構造の検討・設計を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,人に対する人間共存型ロボットの安全性の更なる向上を目指し,ロボット暴走時に発生するロボットの速度・加速度だけでなく,人に加わる力も機械要素のみで検知しロボットの暴走を食い止めるメカニカル安全装置を用いた従来よりも安心・安全な人間共存型ロボットを開発することを目的としている.本研究目的を達成するため,平成24年度研究開始当初では,(i) 本研究で提案する「速度・加速度・接触力に基づくメカニカル安全装置」(新型安全装置)の詳細設計・製作, (ii) 新型安全装置を搭載した1自由度ロボットの製作およびそのロボットを用いた実験,(iii) 新型安全装置を用いた人間共存型ロボットの構造の検討・設計を行うことを計画した.本計画に沿って,平成24年度では,まず,本研究で提案する新型安全装置の詳細設計・製作を行った.次に,製作した新型安全装置を搭載した1自由度ロボットを設計・製作した.さらに,設計・製作した1自由度ロボットを用いて実験を行い,本研究で提案する新型安全装置を1自由度ロボットに搭載した場合に新型安全装置が目的通り動作するか否かについて検証を行った.その結果,1自由度ロボットにおいては新型安全装置は目的通り動作することが確認できた.1自由度ロボットにおける実験結果を踏まえて,新型安全装置を用いた人間共存型ロボットの構造の検討・設計も行った.以上のことから,おおむね当初計画通り本研究を実施しているため,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は,以下のとおりである. 平成25年度は,平成24年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)交付申請書に入力したとおりの実施計画で実施する予定である.すなわち,まず,速度・加速度・接触力に基づくメカニカル安全装置(新型安全装置)を搭載した人間共存型ロボットを,平成24年度に実施した設計に基づき製作する(ただし,実際に製作する上で問題点等が生じた場合は,適宜設計変更を行うなど修正し,製作する.また,人間共存型ロボットの製作において,研究室所有の部品で転用可能なものは転用する予定である.).次に,製作した人間共存型ロボットを平地・坂道・不整地で走行させた場合・人間共存型ロボットが壁等に衝突した場合等の種々の場合でも新型安全装置が目的通り動作するか否かについて実験により詳細に検証する.本実験を効率よく実施するために,ロボットと環境との間の接触力を計測するための専用の力センサを購入する予定である. 平成26年度も,平成25年度と同様,平成24年度交付申請書に入力したとおりの実施計画で実施する予定である.すなわち,まず,平成24年度・25年度の実験結果を踏まえ,本研究で提案する新型安全装置およびそれを搭載した人間共存型ロボットの改良を行う.さらに,改良した人間共存型ロボットを用いて平成25年度に実施した実験に関して再実験および追加実験を行う.最後に,本研究で得られた成果のまとめを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は,主に,新型安全装置を用いた人間共存型ロボットの製作と製作した人間共存型ロボットを評価するための実験装置の製作に使用する予定である. 平成24年度の1自由度ロボットの製作段階において,1自由度ロボットの製作やそれを用いた実験設備の製作に必要ないくつかの部品(ギア・リンク・土台等)に研究室所有の部品を転用することが可能であることが判明した.そこで,研究室所有の部品を用いることにより,その分の研究費を次年度に繰り越し,人間共存型ロボットやそのロボットを用いた実験環境を少しでも充実させるために使用した方が研究の質を向上させるために良いと判断し,研究室所有の部品で転用可能なものは転用した.そのため,平成24年度から平成25年度へ助成金の繰越が発生している.一方,平成24年度に実施した1自由度ロボットを用いた実験の実施結果から,ロボットと環境との間の接触力を効率よく計測するためには,専用の力センサを購入することが必要であることが分かった.したがって,次年度は,より効率よく人間共存型ロボットと環境の間の接触力を計測し,製作する人間共存型ロボットを十分に評価するために専用の力センサを購入する予定である.
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Research Products
(2 results)