2014 Fiscal Year Annual Research Report
ロボットモデルによるタンパク質の機能発現過程の理解
Project/Area Number |
24560309
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
有川 敬輔 神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (50350674)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロボット機構 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては,新たに,タンパク質の「局所構造の運動適合性解析」,「形状機構性解析」等を考案し,これらの定式化とプログラム実装を行った(解析結果の可視化を含む).さらに,これらと前年度までに開発した計算プラットフォームを組み合わせ,タンパク質を含む様々な系ついて解析を行った.「局所構造の運動適合性解析」は,タンパク質の局所構造の運動特性が構造全体の中で保存される度合いを評価するものである.解析の結果,特に,タンパク質の運動において重要な役割をしている部位の運動特性は,構造全体の中で概ね保存されていることが分かった.「形状機構性解析」は,タンパク質の形状に内在するロボット機構的な性質を抽出するものであり,具体的には,局所球状領域とその領域外の間の分離コンプライアンス特性を評価することにより行われる.タンパク質どうしの相互作用を含む系,4次構造形成過程など,様々な系について解析を行ったところ,例えば,阻害因子が結合することで形状機構性が全体的に低下するなど,形状機構性の変化とタンパク質の機能発現の間に密接な関係があることが明らかとなった. 本研究全体の成果を以下にまとめる.まず,解析理論面においては,ロボット工学的知見を基に,「分離コンプライアンス解析」,「変形指定解析」,「局所構造の運動適合性解析」,「形状機構性解析」等,タンパク質の機能理解に有効な解析手法を考案し定式化した.また,プログラム実装面においては,並列計算,再利用計算,自由度圧縮,解析結果の可視化等の機能を備えた,計算フレームワークを開発した.これらを組み合わせ,様々な系について解析を行った結果,タンパク質の形状機構性を含む広義のコンプライアンス特性,特に,相互作用によって生じる同特性の変動が,機能発現過程に重要な役割を果たしていることが分かった.
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