2012 Fiscal Year Research-status Report
人間とロボットの力学的協調作業に伴う動特性帯域を滑らかに調整する機械的可変機構
Project/Area Number |
24560312
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
積際 徹 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (90362912)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロボット / インピーダンス制御 / 人間-機械協調系 / 人間とロボットの協調作業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間とロボットの力学的相互作用において、人間およびロボットが有する動特性の連続的な干渉制御を実現するマンマシンインターフェースを開発し、干渉制御下で実施される協調作業に関する定量評価を行うことである。本年度の研究実績は、(i) 動特性の干渉制御を実現する機械インターフェースの開発ならびに(ii) その制御法の構築であった。 まず、上述した動特性の連続的干渉制御を実現する新たな機械インターフェースの仕様設計を行い、開発作業に着手した。当初の計画通り、研究初年度末(2012年度末)までに開発が終了し、動作確認を実施することができた。また、機械インターフェースの運動制御とロボットの運動制御を統合する、新たな制御法の確立についても同時に実施し、プロトタイプとなる統合制御法が完成した。 そして、開発したインターフェースとロボットシステムにプロトタイプ版の統合制御法を実装し、予備実験を行うことができており、現在は得られたデータの解析を行っている。現時点では、従来のインピーダンス制御と、筆者が考案したinherent dynamics interaction(ロボットの動特性と人間の動特性の分離を実現する制御法)との切替制御が可能になるとの知見が得られており、人間とロボットの動特性の非干渉化(あるいは低干渉化)が実現できている。また、両者間の動特性を結合することで、通常のインピーダンス制御も提供することができ、動特性帯域の整形機能やパワーアシスト機能を利用することが可能になっている。 なお、開発した機械インターフェースと提案制御法(プロトタイプ)の詳細については、現在、国内の主要学会誌に論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請時における研究初年度末(2012年度末)までの予定は、(i) 動特性帯域の連続的な可変制御を実現する機械インターフェースの開発 (2012年4~2013年3月)、(ii) 機械インターフェース、ロボットの制御法構築と実装、解析 (2012年10~2015年10月)であった。 まず、上述の(i)については、当初の予定通りに完了しており、既に予備実験(動作実験)を実施している。また、(ii)については、統合制御法のプロトタイプ版が完成しており、開発した機械インターフェースとともにロボットシステムに実装し、動作実験に使用している状況である。統合制御法については、次年度以降、実験データの解析結果等を基に改良を加えていく予定である。なお、次年度より実施する安定解析や、動特性の可変制御下で実現される協調作業の結果を反映させ、より実用的な制御法にしていく。 機械インターフェースの開発過程と統合制御法(プロトタイプ)の実装に関する詳細については、現在、国内の主要学会誌(日本機械学会誌等)に論文投稿中であり、研究初年度(2012年度)の達成度は充分であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究計画は、(i) 機械インターフェース、ロボットの制御法構築と実装、解析 (2012年10~2015年10月)、(ii) 提案制御法の効果に対する検証 (2013年4月~2014年1月)である。 まず、(i)については、研究初年度(2012年度)に引き続いて、提案制御法のロボットシステムへの実装ならびに解析作業を行っていく。具体的には、システム全体の安定解析を行う解析手法の構築を行い、これまで明らかにされていなかった提案システムの安定性についての議論を行う予定である。これにより、理論的な安定解析に基づいてシステムの安定性を保証できるようにしていく。 次に、(ii)の提案手法の有効性に関する検証については、人間とロボットの協調作業に関する定量評価を実施するとともに、被験者の高次脳機能の賦活状態についての評価を行っていく。具体的には、多数の被験者による検証実験を実施し、得られたデータや現象についての定量評価を実現する。また、光トポグラフィ装置(NIRS装置)を用いた脳機能診断を実施することで、協調作業実施中の被験者の脳血流変化を調べ、高次脳機能の賦活状態を解析していく。人間の主観による評価だけに止まらず、脳の働きから見た定量評価を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、(i) 消耗品費、(ii) 国内旅費・外国旅費、(iii) 人件費・謝金、(iv)その他を計上している。 具体的には、(i)消耗品費として、機械インターフェースの改良のために必要となる製作用部品材料(3Dプリンタ用ABS樹脂材料、各種部材)や3Dプリンタメンテナンス費用、機械部品加工費の計上を行った。また、データ解析用のPCパーツ(高速CPU 、SSD、増設メモリなど)、データ保存用のハードディスクなども消耗品として計上した。そして、国内・海外で開催される学会や研究会における研究成果の発表ならびに情報収集のために、(ii) 国内旅費・外国旅費を計上している。また、実験データの定量評価を実施するために、多くの実験試行を行う必要があることから、実験補助を行う大学院生の人件費として、(iii) 人件費・謝金を計上している。ロボットシステムの操作補助や、光トポグラフィ装置で得られたデータの解析補助ができる大学院生の謝金として支出する予定である。最後に、(iv)その他として、論文の投稿に関わる諸費用、英語論文の校閲費用等としての雑費を計上している。
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Research Products
(2 results)