2012 Fiscal Year Research-status Report
低コスト・ウェアラブル空気圧制御機器の開発と性能改善
Project/Area Number |
24560315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
赤木 徹也 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50311072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂田 周治郎 岡山理科大学, 工学部, 教授 (10090218)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ソフトメカトロニクス / ウェアラブルシステム / メカトロニクス / 空気圧制御機器 / 組込み技術 |
Research Abstract |
低コスト・ウェアラブル空気圧制御機器の開発と性能改善として,水中でも変位計測が可能な内径センサ内蔵型ゴム人工筋の改良を行った.具体的には,安価なマイクロコンピュータを用いて,内径センサに傾斜角の検出機能と内径計測の傾斜補正機能を加え,人工筋に湾曲等が生じた場合でも変位計測が可能なシステムを構築した.また,湾曲や回転を生じても直動変位が計測できる柔軟なリニアエンコーダとして,柔軟チューブにリング状のスリットを施したリニアエンコーダを構成し,スリットをフォトリフレクタで検出し,さらに安価なマイクロコンピュータにより直動変位に変換する計測システムを構成した.また,曲がっても使用できる柔軟空気圧シリンダを用いた手首や腕のリハビリテーションシステムとして,2本のリング状の柔軟空気圧シリンダを直交させた球面アクチュエータの性能改善を行った.具体的には,使用する弁に排気時の流量の補正を行い,さらに圧力制御型の制御システムを安価なマイクロコンピュータで構成することで動特性を改善した.また同じく柔軟空気圧シリンダを用いた(手首リハビリテーション用)伸縮・湾曲ロボットのコントローラに処理速度の早いマイクロコンピュータを用いることで性能改善を図った.また,ウェアラブルな制御弁の開発として,安価なOn/Off弁を用いて流量を疑似アナログ的に制御する疑似サーボ弁を,圧力制御型の弁に改良した.さらに,排気時の流量低下を出力圧力のフィードバックにより補正する手法を提案し,圧力追従制御性能を改善した.さらに,永久磁石を利用して開閉時のみに電力を消費し,開閉を保持するためのエネルギを消費しない自己保持機能を有する流体制御弁では,最適設計のための解析モデルを構築し,実験値を比較することでモデルの有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していた「チューブが回転しても変位計測が可能な柔軟リニアエンコーダの開発」では,チューブにリング状スリットを施し,その検出システムを安価なマイクロコンピュータやフォトリフレクを用いて構成し,チューブが回転した場合でも変位計測が可能であることを確認した.また,「湾曲時でも変位計測が可能な変位センサ内蔵型ゴム人工筋の改良」では,本助成金で購入した基板作成機を使って内径センサ基板の高密度化を行い,従来の2個のフォトリフレクタを4個に増やし,人工筋内部でのセンサ基板の傾斜を計測するシステムを構成した.さらに,これらのセンサ値から直動変位に変換するシステムを安価なマイクロコンピュータを使って実現した.また,「自己保持機能を有する流体制御弁の解析モデルの構築」では,弁内部のソレノイドや永久磁石の挙動などを含めた詳細なモデルを構築し,弁の特有な動作原理も再現でき,実験結果とよく一致することを確認した.また,当初,平成25年度の計画であったリハビリテーション機器の開発に関して,「柔軟空気圧シリンダを用いた球面アクチュエータの性能改善」や「柔軟な伸縮・湾曲機構の制御性能改善」を行った.また,ウェアラブル制御弁の開発に関しても,「自己保持機能を有するデジタルサーボ弁の小型化および速応性の改善」を行っている.さらに,安価なOn/Off弁を用いた「圧力制御型疑似サーボ弁の開発」も行っており,当初の計画以上の成果を挙げたものと考える. またこれらの弁や駆動機構の制御器には,安価なマイクロコンピュータを用いており,通常のパーソナルコンピュータを用いた制御システムに比べはるかに低コストで制御システムが構成できた.つまり,本申請の目的である「低コストなウェアラブル空気圧制御機器の開発」も十分達成できているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画として,アナログ的な流量・圧力の調整するウェアラブルサーボ弁の低コスト化について検討する.具体的には,アナログ的に開口面積を変える機構を,屈曲したチューブの屈曲角やねじり角を調節することで実現する弁の開発について検討する.この弁の角度調整機構には,ラジコンヘリコプターなどの玩具に使われる安価なサーボモータを用い,制御には,安価なマイクロコンピュータを用いることで,従来5~20万円程度するサーボ弁を1,000円程度のコストで構成できると考える.また,以前より開発を行っていたOn/Off弁を用いた疑似サーボ弁についても,コントローラと弁の一体化による小型化を行いウェアラブル性の向上を図るとともに,制御則やハードウエアの変更により性能改善を図る.さらに,柔軟空気圧シリンダを用いた球面アクチュエータや伸縮・湾曲ロボットアームに関して,リハビリテーション機器への応用に向けた改良や性能改善を行う予定である.また,柔軟空気圧シリンダの応用として配管検査ロボットへの応用についても検討する.また安価な肩のリハビリテーション機器の開発として,封筒形状のアクチュエータの開発についても検討する予定である. 以上の研究に関する成果発表を,各研究テーマの実験等に関して詳細な情報を有する大学院生(博士2名:ムハマド アリフ,アブドル ナシル,修士10名:王琳,劒持雄司,張榮,正子祐輔,李慧,劉長江,守分善法,大野歩,邱皓俊,辻泰之)や学部学生(20名)が行う予定であり,これらの成果発表に関わる費用(参加費,出張旅費など)を本助成金から支出する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画として,上述のウェアラブル空気圧制御機器に関する複数のテーマで必要となるマイクロコンピュータ等の購入に使用するとともに,研究代表者である赤木徹也および研究協力者である堂田周治郎教授や各研究テーマの実験等に関して詳細な情報を有する大学院生ムハマド アリフ,アブドル ナシル,王琳,劒持雄司,張榮,正子祐輔,李慧,劉長江,守分善法,大野歩,邱皓俊,辻泰之や学部学生(20名)の研究成果報告に関わる費用(参加費,出張旅費など)に使用する予定である.
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Research Products
(27 results)