2013 Fiscal Year Research-status Report
低コスト・ウェアラブル空気圧制御機器の開発と性能改善
Project/Area Number |
24560315
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
赤木 徹也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (50311072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂田 周治郎 岡山理科大学, 工学部, 教授 (10090218)
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Keywords | ソフトメカトロニクス / ウェアラブルシステム / メカトロニクス / 空気圧制御機器 / 組込み技術 |
Research Abstract |
低コスト・ウェアラブル空気圧制御機器の開発と性能改善として,アナログ的な流量・圧力を調整するウェアラブルサーボ弁の低コスト化を行った.具体的には,従来コストの高いアナログ的に開口面積を変える機構を,屈曲したチューブの屈曲角やねじり角を調節することで実現することで低コスト化を図った.弁の角度調整には,玩具に使われる安価なRCサーボモータを用い,安価なマイクロコンピュータを制御器に用いることで,従来5~20万円程度するサーボ弁を1,000円程度の低コストで構成した.さらに,試作弁のチューブの屈曲角と出力流量の関係上にあるヒステリシスを補正するため,圧力センサによる圧力フィードバック制御を行う弁を開発し,ゴム人工筋の位置決め制御に応用した.その結果,制御性能が改善されるなど,その有効性を確認した.また,以前より開発を行っていた安価なOn/Off弁を用いた圧力制御型の疑似サーボ弁の制御性能改善を図った.具体的には,従来行ってきた供給側と出力側の圧力差によって生じる流量変化の補正に加え,制御則としてスライディングモード制御を適用した.また,短い制御周期を実現するため,マイクロコンピュータを2つ用いたデュアルのコントローラを提案・試作し,解析モデルを用いたシミュレーションと実機を用いた実験によりその有効性を確認した.さらに,安価な肩のリハビリテーション機器の開発として,脇に挟むことで使える薄型の封筒形状のアクチュエータを開発した.具体的には,ラミネートフィルムと紙を用いて,比較的短時間で安価に製作できるマチを有する封筒型のアクチュエータを開発した.さらに,アクチュエータへの入力配管を削減するため,複数個のアクチュエータを直列に繋いた多室式封筒型アクチュエータを試作した.さらにそれを2つ用い,ロープのように交互に重ねあわせることにより加圧時に変位方向が一方向に拘束できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画していた「アナログ的な流量・圧力の調整する低コストなウェアラブルサーボ弁の開発」について,ラジコンに使われる安価なRCサーボモータを用い,柔軟チューブを屈曲させてアナログ的に流量や圧力の調整するウェアラブルサーボ弁を開発した.この弁は安価なRCサーボモータやマイクロコンピュータを用いることで,従来5~20万円程度するサーボ弁を1,000円程度の低コストで実現できるなど,本申請にある低コストのウェアラブル制御機器に開発に寄与できたといえる.また,「安価なOn/Off弁を用いた圧力制御型の疑似サーボ弁の性能改善」では,負荷側の圧力の大きさにより生じる出力流量変化を補正する手法に加え,制御性能改善のためスライディングモード制御則などロバストな制御則を適用した.さらに,この複雑な制御系を安価なマイクロコンピュータで実現するため,100円程度の安価なマイコンを2個使ったデュアルCPUのコントローラを提案・試作し,制御周期の高速化による弁性能の改善を低コストで実現した.さらに,「低コストで製作可能なリハビリテーション用アクチュエータの開発」についても検討し,ラミネートフィルムや紙を用いた安価で製作時間の短い封筒型アクチュエータを開発した.また,複数の圧力室を有する封筒型アクチュエータを2つ重ねあわせることで,負荷に対して座屈などを起こしにくい構造のアクチュエータを開発した.以上,本研究では当初の計画にはなかった研究成果を得ており,本申請の目的である「低コストなウェアラブル空気圧制御機器の開発と性能改善」を十分達成できているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画は以下の通りである.前年度開発したチューブの屈曲を利用したウェアラブルサーボの性能改善として,屈曲に利用するサーボモータの回転角と出力流量と関係で生じたヒステリシス特性の改善を検討する.また,家庭でも使用できる安価なリハビリテーション機器の開発として,以前の研究で開発した柔軟空気圧シリンダを用いた球面アクチュエータをポータブルな駆動システムに改良することを考える.これは,両手で持った状態で,球面アクチュエータを動かすことで肩を含む上肢の運動を与えることを狙ったデバイスの開発であり,デバイスが傾斜した場合でも2つのステージ間のなす角を計測するシステムを開発する必要がある.また,前年度開発した封筒型アクチュエータの駆動源として,低沸点流体を用いた流体圧力源の開発について検討する.さらに,この圧力源を封筒型アクチュエータに内封して使用することを考え,薄型で柔軟性のあるヒータの開発についても検討する.さらに,On/Off弁を用いた疑似サーボ弁についても制御則の変更による性能改善を図るとともに,ゴム人工筋の位置決め制御への応用についても検討する.さらに,柔軟空気圧シリンダを用いた伸縮・湾曲ロボットアームに関して,リハビリテーション機器への応用に向けた改良として,マスタースレーブ方式のバイラテラル制御の実現を目指す.そこで,マスター側にスレーブの状態をフィードバックできる安価なデバイスの開発を行い,さらにバックドラバビリティーを有する柔軟空気圧シリンダの開発について検討する.また,柔軟空気圧シリンダの応用として配管検査ロボットへの応用についても検討する予定である.
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Research Products
(14 results)