2012 Fiscal Year Research-status Report
高効率モータのための高速電磁界解析手法を応用した形状最適化技術の開発
Project/Area Number |
24560319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 浩太 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322828)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形状最適化 / 電磁界解析 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究課題は,モータ等の電磁機器の効率等を改善するための電磁界解析および形状最適化に関するものである。特に,位相最適化に注目してそのアルゴリズムの改良を目指している。位相最適化は,その形状に制限や仮定を持たせず,場合によっては完全にランダムに作成した初期形状から最適形状を求めるため,設計者の予想を上回る画期的な特性を持つ形状が得られる可能性がある。 本年度は従来から開発してきたON/OFF法を元にした位相最適化アルゴリズムを見直して,表面形状を滑らかにするフィルター処理の簡素化を行った。またON/OFF法では,格子状のメッシュに材料のあり/なしの状態を表すビット情報を配置することで形状を表現する。そのために,表面形状が階段状になってしまう問題点がある。そこで,材料が半分存在する状態を追加し,2値ではなく,3値で材料配置を表現する手法を開発し,磁気シールドモデルに適用した。その結果,完全にランダムに配置した初期状態からスタートして,免疫型アルゴリズムにより進化計算を行ったところ,磁気シールド構造で有効とされる多重のシールド構造が現れ,提案手法の有効性を確認した。また,フィルター処理を簡素化したにも係わらず,工学的に実現困難な複雑形状が現れるのを回避することができた。 最適化計算では電磁界解析を繰り返す必要があるため,解析の高速化が重要である。電磁界解析で専ら用いられる有限要素解析では大規模な連立方程式を解く必要があり,その高速化が重要である。本年度はその高速化の手法であるデフレーション法に注目し,実用的な観点から,その手法の問題点の洗い出しを行った。この方法では,解の中で収束の遅い成分を分離する必要があるが,その分離する方法の比較,および反復計算の過程において,内部反復の収束判定が全体の収束特性に与える影響などを調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
駆動回路を含めたモータの形状最適化に必要な渦電流非線形過渡解析を高速化するために,本研究では,無限要素,TP-EEC法,デフレーション法の三つの新しい解析の高速化手法を導入する計画である。そのうち,本年度はデフレーション法に関して,その実用的な適用法に関する検討を行った。また,無限要素をモータの設計に必要不可欠な渦電流非線形過渡解析に対応させる計画であったが,基礎検討を行ったものの,具体的な定式化には至っていない。 最適計算アルゴリズムには免疫型アルゴリズムを用い,これと高速な電磁界解析技術を組み合わせた最適化手法において,工学的に実用的な形状の解を求めるためには,表面形状を滑らかにするフィルター処理が非常に重要な役割を担っている。この処理無しで位相最適化を行うと,表面形状がフラクタル形状のような複雑な最適解が得られてしまう。これまでに我々は,“Surface smoothing”, “Hole elimination”,“引力効果”と名づけたフィルター手法を開発し,一定の効果を挙げた。しかし,これらの手法は2次元用であり,3次元最適化にはそのまま適用することが困難である。そこで,3次元向けのフィルター手法の開発を行う計画であった。それに対して,アルゴリズムの改良を加えることにより,“Hole elimination”のみだけでも十分なフィルター効果を実現することができた。また,この処理は3次元問題にも簡単に適用可能である。3次元問題への適用は未実施であるが,適用が可能であるとの見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度から引き続き,電磁界解析の高速化を目指す。特に,過渡解析の高速化が期待できるTP-EEC法に注目する。この方法は過渡解析における最初の数周期分の解を用いて,最終的な定常解との誤差を推定して誤差補正することで,高速に定常解を算出する方法である。この方法を,回路―電磁界連成問題への拡張を行う。モータ駆動回路としては,スイッチング素子を単純なON/OFFスイッチとしてみなした簡略化した回路を用い,回路方程式を手計算で算出して,電磁界解析プログラムに組み込む予定である。 上記の手法の開発に加えて,モータの電磁界解析に必要な,メッシュ生成プログラムの開発も行う。モータの数値解析において,回転子が回転するため,その回転に合わせて,時間ステップ毎にメッシュを切りなおす必要がある。これに必要な技術はすでに確立しているので,文献などを参考にしてプログラムの作成を行う。また,それぞれ独立して作成したメッシュを接合して有限要素解析を行う非適合メッシュに関する研究も行っており,この手法を適用することで,メッシュ生成が容易になる可能性があり,その検討も行う。 上記のそれぞれの解析要素技術を組み合わせて,実際にモータの位相最適化計算を行うために必要なプログラムの開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行に必要な情報収集および成果発表のため,国際会議および国内の研究会等に参加する予定であり,そのための旅費に用いる。また,モータ等の電磁機器の電磁界解析では,メッシュ作成や解析後のデータの可視化のために専用のソフトウェアが必要となるため,その購入を検討している。
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