2012 Fiscal Year Research-status Report
高温超伝導体の実規模電磁界解析に関する高性能数値解析技術の開発
Project/Area Number |
24560321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
神谷 淳 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00224668)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高温超伝導薄膜 / クラック / 誘導法 / 永久磁石法 |
Research Abstract |
近年,高温超伝導体(HTS)は核融合マグネット,エネルギー貯蔵システム,送電ケーブル,磁気遮蔽装置等の様々な工学的応用に用いられている.こうした工学的応用の設計には遮蔽電流密度の評価が必要不可欠であるため,遮蔽電流密度を解析するための様々な手法がこれまで提唱されてきた.しかしながら,殆ど全ての提案法は穴やクラックを含まない単層HTS試料にだけ適用できるものであった. 本研究の目的は,多重連結断面・多層構造をもつHTS薄膜中を流れる遮蔽電流密度の支配方程式を導出し,同方程式の初期値・境界値問題を解くための安定な高精度計算技術を開発することである.さらに,同技術を用いて高温超伝導機器の設計ツールを開発するのも,本研究の目的の1つである. 本年度研究では,遮蔽電流密度方程式の導出過程を見直すことにより,電流ベクトル・ポテンシャル法を用いて, HTS試料中の遮蔽電流密度の支配方程式を再定式化することに成功した.その結果,得られた遮蔽電流密度方程式は多重連結断面・多層構造に対して適用可能であり,穴やクラックの影響は支配方程式のみならず境界条件にも含まれる.また,同方程式の初期値・境界値問題を安定かつ高速に解くため,仮想電圧法を一般化した.現時点で,同手法はクラック付き薄膜には応用可能であるが,多孔性薄膜への適用した場合,数値的問題が生じる.この点は来年度以降に解決すべき問題である. 本年度研究では,仮想電圧法を用いて,誘導法とスキャニング永久磁石法によるクラック検出可能性も数値的に検討した.その結果,誘導法では,クラックの位置と形状がほぼ正確に同定できるのに対して,スキャニング永久磁石法では,スキャン方向がクラックに垂直である場合だけが高精度になることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)非線形方程式を減速Newton法で解く際に現れる残差振動の原因を突き止め,同振動を回避する手法を開発することに成功した.この意味では,平成24年度の研究目的はおおむね達成されたと言える. 2)標準型/選点型EFG法等のメッシュレス法で離散化した場合,遮蔽電流密度方程式の初期値・境界値問題は拘束条件付連立1次方程式に帰着する.この方程式の高速解法の開発に挑戦したが,現時点では,ある種の条件が満たされている場合しか,高速な解法は得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
先ず,辺要素有限要素法による3次元シミュレーション・コードを開発し,前年度に開発された節点有限要素法による3次元数値シミュレーション・コードの結果と比較検討する.さらに,磁場の3次元分布の可視化・アニメーション化プログラムを開発するため,磁気微分方程式の初期値問題を解くプログラムを開発する.同時に,神谷研究室のスタッフは開発された3次元遮蔽電流密度シミュレーション・コードを並列分散処理環境に実装し,高速・高精度解析を実現する.また,磁気遮蔽メカニズムを調べるための一助として,解析結果の可視化プログラムも開発する. 3次元遮蔽電流密度シミュレーション・コードは高温超伝導体の遮蔽電流密度が支配的な役割を演じる工学的応用分野の解析に適用できる.それ故,本年度以降は, 1)磁気遮蔽性能解析 2)臨界電流密度の非接触測定法の数値的再現 の2テーマに対して,数値シミュレーション・コードを応用してゆく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)旅費: COMPUMAG 2013, MT-23への外国出張旅費 応用数理学会(福岡市),日本シミュレーション学会(東京都),ISS 2013(東京都)への国内出張旅費 2)消耗品: 可視化ソフトウェア パソコン1式
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Research Products
(29 results)