2013 Fiscal Year Research-status Report
高温超伝導体の実規模電磁界解析に関する高性能数値解析技術の開発
Project/Area Number |
24560321
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
神谷 淳 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00224668)
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Keywords | 高温超伝導薄膜 / クラック / 臨界電流密度 / 非接触測定法 / 永久磁石法 / 誘導法 |
Research Abstract |
よく知られているように,臨界電流密度は高温超伝導(HTS)薄膜の工学的応用にとって最も重要なパラメタの一つである.この意味から,HTS薄膜の臨界電流密度を非接触で測定する方法が望まれてきた. 服部と大嶋等はHTS薄膜の臨界電流密度分布を測定するための高速非接触法を提唱した.彼らは永久磁石を薄膜表面に沿って動かす間に,薄膜に作用する電磁力を測定した.その結果,測定された電磁力分布から臨界電流密度分布を決定することに成功した.この提案法は走査型永久磁石法(SPMM)と呼ばれる. 本年度の研究目的は, HTS 薄膜中のクラック同定へSPMM が適用できるか否かを数値シミュレーションによって調べることである.この目的のため,クラックの検出尺度として,本研究では欠陥パラメタを新たに定義した.その際,互いに逆向きの2種類の走査方向に対して,クラックに起因する電磁力変化を求めることによって,欠陥パラメタは決定される.これは,永久磁石の前方にある遮蔽電流密度分布がクラックによって乱される場合だけ,欠陥パラメタの値に強く反映されるように定義したからである. 計算結果によれば,走査位置がクラック近傍の場合,欠陥パラメタの値は比較的に大きな値を示すのに対して,走査位置がクラックから離れるにつれて,欠陥パラメタの値は急速に減衰する.換言すれば,欠陥パラメタの絶対値が微小な正定数を超える領域にのみクラックは存在する.この結果をもとにして,本研究では,クラックが存在する領域を近似的に同定する方法を提唱した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)有限要素法による遮蔽電流密度シミュレーション・コードは既に開発され,安定な動作を既に確認している.この意味では,平成25年度の研究計画は概ね達成されたと言える. 2)平成25年度は,磁場の3次元分布の可視化・アニメーション化プログラムを開発する目的で,磁気微分方程式の初期値問題を解くプログラムも開発された.しかしながら,磁束線が切断・再結合する場合へは,現時点では未対応である.言い換えれば,磁束線が特異点を保つ場合への対応が平成26年度に達成すべき点である.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元遮蔽電流密度シミュレーション・コードは高温超伝導体の遮蔽電流密度が支配的な役割を演じる工学的応用分野の解析に適用できる.それ故,本年度は,① 磁気遮蔽性能解析,② 臨界電流密度の非接触測定法の数値的再現の2テーマに対して,数値シミュレーション・コードを応用してゆく. ①では,並列版3次元コードを用いて超伝導磁気遮蔽装置の性能解析を行い,磁気遮蔽装置の設計指針を導く. 高温超伝導体の臨界電流密度を非接触・非破壊で測定する手法として,近年,誘導法と永久磁石法が注目を集めている.②では,両手法の正当性と実験パラメタの決定法を数値シミュレーションで実証してみる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Plasma Fusion Researchに投稿中の論文の別刷り代を核融合科学研究所が支払ってくれるため,その費用分だけ予算に余裕が生じた. 1)旅費:CEFC2014,ASC2014への外国出張旅費,日本応用数理学会(東京都),日本シミュレーション学会(北九州市),ISS2014(東京都),ITC-24(岐阜県)への国内出張旅費 2)消耗品:ビジュアルプログラミング,可視化ソフトウェア
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] 拡張境界節点法の高速化2013
Author(s)
大西 章介, 齋藤 歩, 伊東 拓, 神谷 淳, 上浦 尚武, 松井 伸之
Organizer
日本応用数理学会2013年度年会
Place of Presentation
アクロス福岡
Year and Date
20130910-20130910
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