2012 Fiscal Year Research-status Report
非接触給電式スリップリングを持つ永久磁石レス同期電動機の開発
Project/Area Number |
24560323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
金子 裕良 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10233892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非接触式スリップリング / ワイヤレス励磁同期電動機 / レアアースレスモータ |
Research Abstract |
非接触式スリップリングの形状と構造について検討し、数種類スリップリングを試作した。試作した非接触式スリップリングの諸係数をLCRメータを用いて測定し、等価回路から導いた諸式と回路解析ソフトや磁界解析ソフトを用いて論理的解析を行った。60kW相当の同期電動機の励磁回路への電力供給を想定した1kWの給電実験を行い、解析結果と比較検討し、非接触式スリップリングを設計する際有用となる理論を導出した。高速回転時に耐えうる強度を持ち同期電動機の回転軸や外鉄への漏れ磁束損失による効率低下を防ぐため、フェライトコアを低損失の電磁遮蔽効果のあるアルミ板でカバーする構造を検討し、効率向上にアルミ板が有効であること給電実験により示すとともに必要な形状や寸法の設計指針を示した。 漏れリアクタンス補償用コンデンサの配置による特性比較を行うとともにその値の決定方法について検討した。まず、一次直列二次並列に補償用コンデンサを配置し、その場合の特性について論理的解析および給電実験による特性解析を行った。次に、回転子側の電子部品を少なくしメンテナンスフリー化を進めるため、二次側コンデンサをなくした一次直列方式の給電システムを提案して、一次直列二次並列のものと性能比較し、給電実験結果から同等の効率が得られることを示した。また、整流器の平滑化コンデンサを巻線コイルのリアクトル成分に大体させた場合の特性や、ギャップ変動による結合係数などの変化に対する特性についても給電実験を行い検討した。 これらの検討は、本研究費で導入したスリップリング回転試験装置を用いて制止時のみならず500~2,000rpm程度の回転中の給電実験を実施して行い、効率や電流・電圧波形など制止時と変化しないことを確認した。 これらの検討結果に基づき、定格8kW、2,000rpmの非接触スリップリング式同期電動機を設計し、そのプロトタイプ機を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の初年度計画通り、(1)非接触式スリップリングの形状による給電特性の比較、(2)非接触式スリップリング同期電動機に適した補償用コンデンサ配置の検討とその値の決定法、(3)スリップリング回転時の給電特性の解析を実施しており、次年度計画で実施予定の(4)非接触式スリップリング同期電動機の設計とプロトタイプ機の製作も行っている。これらの成果は電気学会産業応用部門大会や全国大会、半導体電力変換器研究会などで学外発表し、電気学会産業応用部門大会では発表者が優秀論文発表賞を受賞するなど高い評価を受けている。 ただし、2,000rpmを超える実験の準備が進んでいないなど、(3)スリップリング回転時の評価方法の確立ができていない。このためには、スリップリングの小型化を先に検討する必要があり、現在それを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った解析結果をもとに、非接触式スリップリング形状の小型化などの再検討を行い、高速回転可能なものを試作する。高速回転中の非接触式スリップリングの給電実験結果に基づく特性改善と小型化の検討を行うため、スリップリングのフェライトコアや巻線(リッツ線)の各仕様の再検討を行う。給電効率を向上させるためのフェライト寸法や一次二次の巻数比を等価回路から導出した理論式や回路解析ソフトPSIMを用いて再度設計する。その設計値に従い同期電動機に搭載する仕様の非接触式スリップリングを試作し、特性測定と給電実験を行って性能評価し、最終設計の確認を行う。 また、前年度作成したプロトタイプ機を用いて、固定子側の回転磁界が励磁回路に与える影響を解析するとともに、回転始動時の弱め界磁制御の予備実験を行う。これらの結果に基づいて非接触式スリップリング方式による同期電動機を設計し製作する。再試作した小型非接触式スリップリングを用いて、60kW、10,000rpm程度の高速回転非接触式スリップリング同期電動機を設計・製作する。 製作した同期電動機の回転実験を行い、その励磁回路側の特性を計測し、高効率給電が可能となる設置方法や設計指針を検討する。非接触式スリップリング同期電動機の出力特性、速度特性などの性能評価を行い、永久磁石モータと比較する。また、励磁回路への電力供給効率を計測し、非接触式スリップリングの有用性を確認する。比較する永久磁石モータについては、既に公表されている情報などを元にシミュレーションを行い出力や効率等の性能を求めて、本研究で試作した非接触スリップリング同期電動機と比較を行う。 負荷変動時に界磁調整ができるように、非接触式スリップリングの一次側インバータを改良する。また非接触式スリップリング同期電動機の速度制御システムを構築し、負荷変動時の特性改善が可能か否か評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)