2013 Fiscal Year Research-status Report
小型・高強度・高形状自由度を有する磁場源の磁場制御に関する検討
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24560334
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 錫範 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00287963)
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Keywords | 磁場のon/off / 磁場増幅 / 磁場制御 / 高温超電導体 |
Research Abstract |
高温超電導バルク体は、高い磁場を捕捉する能力と磁場の形状を記憶させることも可能であり、また、超電導本来の特性である完全反磁性特性も持っている優れた材料である。そこで、本研究では、高温超電導バルク体が有する様々な利点を生かしてMDDS用磁気ナノ粒子やMEMS制御などの医学分野に応用させるために磁場のon/offを含む自由度の高い磁場制御方法を探索している。 一般的に磁場のon/offを含む制御は非常に難しいので、本研究では、リング形状の高温超電導バルク体にスリットを入れることで磁場のon/off制御が可能になると考え、その有効性について電磁場数値解析と実験による検討を行っている。昨年度に行った研究により、スリット部では印加磁場より高い磁場を発生させることが確認でき、これは予想しなかった素晴らしい結果であり、磁場のon/off制御だけではなく磁場の増幅が可能であることを明らかにした。昨年に行った数値解析と実験では約160%の磁場増幅率が得られ、さらに増幅できる可能性があると考えた。 そこで、本年度は、磁場増幅率をより高めるための研究を行い、高温超電導バルク体の形状を階段形状にすることで遮蔽電流の量を向上させ、200%に近い磁場増幅率を得ている。また、階段形状にすることでリング形状の高温超電導バルク体の中心部の磁場を遮蔽することが可能となり、磁場増幅率の向上と同時に磁場のon/off特性を向上させることができた。そして、MDDS用の新しい概念の磁場勾配発生機構について検討を行い、波状の磁気勾配を長手方向へ発生させることが可能なシステムを開発した。具体的には、高温超電導バルク体と高温超電導線材および鉄ブロックを組み合わせることで磁場勾配が大きい波状の磁場分布を長手方向へ発生させることに成功している。本研究は、独自のアイディアに基づく電磁場数値解析の結果と実際に装置を試作して実験を行い、その有効性について実証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、下記の大きく三つの研究目的を果たすための研究を行っている。 (1)直流磁場のon/off制御方法(2)自由度の高い磁場形状を捕捉させる方法(3)磁場の空間均一度を向上させる方法 (1)の直流磁場のon/off制御方法については、リング形状の高温超電導バルク体にスリットを設けることで磁場のon/off制御が可能となることを明らかにした。さらに、その研究を推進する過程で、磁場のon/offのみならず磁場の強度も増幅できることが分かったので、この結果は期待しなかった優れた成果であると考えている。そして、今年度の研究により、磁場増幅率と磁場のon/off特性をさらに向上させることができたので当初の計画よりかなり進展していると判断している。(2)項目については、高温超電導バルク体と次世代線材であるGdBCO高温超電導線材を積層したもの及び鉄ブロックを組み合わせることで長手方向へ波状の磁場分布を発生させることに成功しているため、自由度の高い磁場形状を発生・補足させることに成功したといえる。今回開発した磁場発生方式は、MDDSに非常に有用であると考えている。(3)項目については、複数のリング形状の高温超電導バルク体に空気層を設けて積層することで発生磁場の磁場均一度を上げると共に、磁場補正方法として複数の異なる形状の鉄リングの配置を最適化させることで100 ppm/cm3以下の磁場均一度を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
MDDSなどの磁気誘導に使われる磁場源は、主に永久磁石が用いられている。しかし、永久磁石の製造プロセスなどの発達によりNd系の永久磁石などの磁場強度は1T近く高くなったものの、その磁場強度は永久磁石の表面での磁場強度であり、高さ方向への磁場強度分布特性は電磁石などに比べて低い。従って、人体応用においては、皮膚表面から近いところの磁気誘導しかできないのが現状であり、人体の深いところまでの誘導は無理である。また、永久磁石の発生磁場分布は平面空間において非常に平らな分布を持っているので、血液の分岐点での制御は非常に難しくなる。しかしながら、永久磁石は、様々な形状で製作することが可能であり、コスト面でも電磁石や高温超電導バルク体などに比べて非常に安価である。従って、永久磁石からの発生磁場を増幅することが可能であれば、磁気ターゲティング用の磁場源として使うことが可能になると思われる。 そこで、今年度も、磁気ターゲティングシステムの磁場源として1 T以上の磁場強度を有する磁場源の開発を行うと同時に、その磁場源からの発生磁場をon/offできる方法を開発する。また、前年度に開発したMDDS用の磁場発生装置において、外部印加磁場用の磁場源として超電導マグネットを用いたMDDS用の磁場発生装置の開発する予定である。開発するMDDS用の磁場発生装置は、超電導マグネットと高温超電導バルク体、高温超電導線材および鉄ブロックに構成され、超電導体の完全反磁性特性に起因する遮蔽電流を利用して、人体の深部まで磁場が届くように高さ方向への磁場強度の伸長と最適幅を有する磁場分布を発生させるための原理や構造について検討する。
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Research Products
(29 results)