2013 Fiscal Year Research-status Report
高調波発生源を同定する開閉器内蔵樹脂一体型電力状態観測センサに関する実験的研究
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24560337
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
古川 達也 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90173525)
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Keywords | 電力工学 / 配電工学 / 電気機器工学 / 計測工学 / 電力機器 / スマートグリッド / スマートセンサ / 数理工学 |
Research Abstract |
研究代表者が従前から提案してきた「樹脂一体型電力状態計測センサ」の筐体構造は、実配電系において活線工事を可能とするための取付治具の付与や絶縁耐量に関して余裕を持って設計された結果,大型化ならびに重量化(約3.7kg)していた。しかしながら、本申請課題で提案するように、一般配電系に各セクション毎に設置されている三相柱上開閉器内に電圧・電流センサ・モジュールをポリアセタール樹脂に埋め込んで内蔵させた場合、鋳鉄もしくは鋼鉄製電力開閉器筐体内において、電磁誘導の原理で電流波形を計測する本センサ方式では、一般論として、「鉄製筐体から電流センサ出力への影響は否めないのでは」との懸念があった。そこで、本研究では、樹脂一体型電力センサ方式の開閉器内蔵可能性を議論するために、理論的・実験的に研究を遂行した。 平成25年度では、まず、前年度行った一般配電系で普及している種々の柱上電力開閉器の筐体構造ならびに配電線間距離に関する調査結果に基づいて、電柱上に設置されるため寸法が限定される開閉器の専積容量から配電線間距離を決定し、さらに、内蔵されるセンサ樹脂筐体の形状を設計した。また、三次元電磁界解析を有限要素法を用いて行った結果、電流センサ出力が鉄筐体からの影響を殆ど受けないことが解明され、この計算結果に基づいて、厚さ3.2mmの鋼板で囲まれた長方体構造の模擬開閉器構造を試作して、申請者の研究室内に設置された模擬配電系に設置し、実配電系規模の100~300Aを通電した実験結果でも同様の結果を実証することができた。 平成25年度の研究結果は、平成26年5月19日から開催される米国電気電子学会主催の国際会議IPEC(International Power Electronics Conference)-Hiroshima 2014の査読付き会議録に採録され、講演発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数回に渡る科学研究費と民間等との共同研究の支援を受けて、研究代表者が従前から開発してきた樹脂一体型電力状態計測センサには、実配電系において活線工事を可能とするための取付治具が存在し、樹脂部の絶縁耐量を余裕を持って設計・製作した結果、大型化したため、3.7kg程度の重量があった。 平成25年度では、従前の方式から治具部を取り除いて、一対の電極板からなる電圧センサと一対の逆直列接続二連コイルからなる電流センサをポリアセタール樹脂ブロック内に埋没させて、コンパクト・軽量化を検討したものを鋼鉄製筐体となる模擬開閉器に内蔵された状態を想定した三次元有限要素解析によって、端子電圧と三相抵抗負荷を考慮した電磁界解析を実施し、鉄筐体内でも筐体の材の影響を受けることなく、高調波成分を含む電流波形を計測できることが明らかになった。さらに、この計算結果に基づいて、設計・製作した鋼鉄製模擬開閉器に樹脂一体型センサを設置して、申請者の実験室内にある模擬配電系において実配電系規模の電流を通電して実験を行ったところ、数値計算通りの結果を実証することができた。 上記の結果を平成26年5月に開催される米国電気電子学会主催の国際会議IPEC(International Power Electronics Conference)-Hiroshima 2014で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で行った端子電圧と三相負荷を想定した三次元有限要素解析では、電磁ベクトルポテンシャルを用いて解析を実施しているため、磁界のみならず、電界も解析できるが、三次元解析は、計算負荷が多大であるため、平成25年度では、時間的制限から磁界だけの解析になってしまっているので、最終年度となる平成26年度では、達成できなかった電界解析にも着手する。さらに、配電線にリング状のコアを設置し、配電線に非侵襲で集電を可能にする電源装置の集電部コアを三次元有限要素解析によって設計・製作し、計測用マイコンの駆動を試みる。 また、平成26年度では、購入を検討している三相高電圧発生装置を用いて、模擬配電系での高電圧印加時の電圧センサ出力波形の実験を検討しており、さらに、実験室内に構築中の模擬マイクログリッドを用いて、電力の流れを把握し、高調波成分の発生方向を同定する計測システムの開発も目指す。
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Research Products
(13 results)