2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560347
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
加藤 正平 東洋大学, 理工学部, 教授 (80103571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サージ / コイル / 変圧器 / 数値電磁界解析 / FDTD法 / モーメント法 |
Outline of Annual Research Achievements |
変圧器やリアクトルでは巻線構造を使用するが、巻線間に存在する静電容量とインダクタンスによって共振が生じ、線間に定常時とは異なる過電圧が発生する場合がある。このため、一般に線路モデルを採用するにしても複雑な等価回路になり回路定数を算出することは容易でない。そこで数値電磁界解析法を使用してステップ電圧源の出力電流を求め、負荷のインピーダンスを検討する時間領域反射法をコイルに適用した。その結果、インダクタンスのステップ応答電流に複数のステップ変化の減衰電流が重畳することが明らかになった。また、コイル内の電流は双極性の電流になることも得られた。 これらの解析結果を検証するために、実ソレノイドコイルを作成し、電流分布や線間電圧の測定を行うとともに、またモーメント法とFDTD法を使用する数値電磁界解析法を用いて実験と同様のモデルの解析を行い、そのサージ特性を検討した。 電流分布は電流変成器を、電圧は線間にポッケル素子を挿入して求める方法と高入力インピーダンス電圧プローブを使用する方法を採用した。電圧プローブ法では波形測定用オシロスコープの電位振動が測定電圧に現れたが、振動の周期はコイル内のサージ振動より大きくなるため、取り扱いが容易な電圧プローブで十分な測定が可能であることが明らかになった。以上の測定法にて実コイルのサージ特性を測定し、解析結果と比較検討した。電流分布は測定と解析はかなり良い一致が見られるが、電圧分布は差が大きい。その原因としては誘電体の取り扱いが解析では十分でないことが挙げられる。 入力端から流入する電流による誘導電流が、サージ電流の進行方向に流れる場合は負電流となり、反対に入力端方向に流れる電流は正の電流になる。これが重畳することによって、階段状に減衰する容量性の電流になることが明らかになった。このためサージ解析で使用する線路モデルは巻線構造に適用するには問題がある。
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