2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境適合絶縁油中の沿面放電特性とストリーマ進展機構に関する研究
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24560351
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| Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
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Principal Investigator |
花岡 良一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90148148)
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2012-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 交流高電圧 / インパルス高電圧 / 沿面放電 / 植物由来絶縁油 / 鉱油 / 複合絶縁系 / 油中ガス分析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
過去1世紀以上，油入高電圧機器の内部絶縁には，絶縁油／プレスボード複合絶縁系が採用されてきた。特に，化石資源ベースの鉱油は，電気絶縁・冷却媒体として優れた性能を持つので最も広く用いられた。しかし，近年，原油資源の枯渇による供給不安，硫化銅腐食，燃焼時の大気汚染や漏油による環境汚染などの問題から，鉱油に代わる環境適応性絶縁油として植物由来絶縁油が注目され，それらの電気絶縁性能が重要視されている。一方，複合絶縁系の油／固体界面は，誘電率整合が難しく雷サージなどの過電圧により沿面放電が進展し易い電気的弱点部となる。それ故，油中沿面放電の理解は，電力機器内部の絶縁設計において最重要課題である。本研究では，代替絶縁油として菜種油およびパームヤシ脂肪酸エステル(PFAE)油に着目し，油／プレスボード界面の沿面放電特性を鉱油中の特性と比較しながら明らかにしてきた。
主な成果として，①油入電力変圧器内部で起こるフラッシオーバの原因を明確化するため，固体誘電体板間の狭い隙間を進展するインパルス沿面放電の振る舞いとフラッシオーバ電圧の関連性を調べ新しい知見を得た。②交流高電圧(60[Hz]，0～45[kVrms])印加時における沿面ストリーマの形状，進展長および速度，放電電流と放電電力，プレスボードの表面トラッキングと貫通破壊等の沿面放電特性を明確にした。また，放電進展後の油中ガス分析(DGA)によりアセチレンガスの生成を確認し，それとトラッキング形成メカニズムの関連性を明らかにした。特に、最終年度では，③熱加速劣化法により酸価値0.3mgKOH/gの劣化絶縁油を作製し，交流沿面放電特性に関する絶縁油の劣化効果を明確にした。これらの研究を通じて，PFAE油は電気絶縁性能と酸化安定性に優れることが立証され，次世代絶縁油としてIEC規格標準化へ踏み出している。これらの成果は，各学会で公表された。
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