2013 Fiscal Year Research-status Report
震災時に強いスマートグリッドによる電力給電システムの構築
Project/Area Number |
24560353
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
一柳 勝宏 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80064955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雪田 和人 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60298461)
後藤 泰之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70178458)
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Keywords | 太陽光発電 / 予測 / スマートグリッド / 雲画像 / 災害 / 燃料電池 / 水素発生 / 電力安定供給 |
Research Abstract |
再生可能エネルギー電源は天候に左右され,系統の受給調整に影響を与えることのないように導入量を制限する必要性が生ずる場合がある。このような問題解決のために,蓄電池との協調運用手法が提案,検討されている。しかし,蓄電池設置には初期費用が膨大となるために,経済的観点から実現が難しい。他方,これらの再生可能エネルギーは 配電網の任意の位置にて系統連系されることから、通常のとは反対方向に電力が流れる「逆潮流」問題が発生し,電圧が不安定になり電力網に悪影響を与える可能性が生じている。本研究では,平常時と災害時における電力の安定供給を目的としてスマートグッドシステムによる検討を進めた。平成25年度の主な研究項目は以下の通りである。 (1).水素製造・燃料電池ネットワークの構築: 新たに水電解水素発生装置FCQL-1000(最大水素発生量:1000mL/min)を導入し,既設の燃料電池システムとの協調により,余剰電力の有効利用と系統への電力変動の影響の最小化のための実験的検討を行った。 (2).分散電源の高効率運用に関する研究: 平常時における分散電源の高品質・高効率運転を目的として,連系点電力制御,分散型電源の最大負荷追従制御,次世代電気自動車の充電制御など,実験的検討を行った。 (3).自然エネルギー予測利用に関する研究: 太陽光発電を含む自然エネルギーを有効に電気エネルギーを無駄なく電力に変換使用するために,PV発電量を精度良く予測することが重要となる。そこで,①数時間から1日先までの期間の変動予測に対して,気温データの予報値とニューラルネットワークを用いることによる全天日射量予測手法を提案し,実証した。さらに,②1時間程度先までの比較的短期間先の変動を予測するために,全天雲画像データによる雲量推定結果から日射量を予測する手法を提案し,精度向上を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 平成24年度に引き続き, PV発電を中心とした自然エネルギー利用による発電設備と燃料電池,蓄電池などの分散電源をグリッド連系することにより,平常時と災害時における電力の安定供給を目的として検討を進めた。平成25年度実施した研究概要と成果を以下に示す。 (1)水素製造・燃料電池ネットワークの正常時運転に関して,AC/DC変換器,DC/DCコンバータによる直流スマートグリッド構成した。余剰電力を水素燃料として電力貯蔵することによる最適システム運用計画を実施すると共に,直流⇔交流の変換ロス削減と直流給電の可能性について検証できる模擬実験装置として完成させた。さらに,分散電源の高品質・高効率運転,連系点電力制御,分散型電源の最大負荷追従制御,次世代電気自動車の充電制御など,シミュレーションと実験的検討ができた。 (2)災害などの緊急時には,スマートグリッド模擬装置を用いることにより,PV,蓄電池,水素貯蔵装置,電気自動車の蓄電装置などの発電機能によりグリッドの自立運転の検討を可能とした。 (3).自然エネルギーの予測利用に関して,複数カメラの時間同期撮影により得られた全天雲画像データから雲の移動状況の推定を可能にした。複数カメラの時間同期撮影にはGPSモジュールとAVRマイコン(Arduino)とを用いて作成し,毎日の撮影開始・終了時刻や撮影間隔がすべて時間同期可能とした。雲画像データから得られる雲の位置,規模,移動方向,移動速度など,推定精度の向上できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年6月,日本政府は新たな成長戦略「日本再興戦略」の中でエネルギーを賢く消費する社会のための取組みとして,『燃料電池車や水素インフラに係る規制の見直しと水素ステーション整備支援することにより,世界最速の普及を目指す』といった方向性を示した。そこで,本研究を日本再復興戦略の取り組みの一つとし,近い将来の水素社会実現に向けて,緊急時の安定電力供給と平常時のエコ電力運用のために,水素製造/燃料電池システムの充実を図る。これまでに,これまでに当研究室では,既設の水素製造/燃料電池装置(平成24-26年度科研費基盤研究(C)購入設備,最大出力1kW)を利用し,基礎的特性試験と運用シムレーションを実施してきた。その結果,「燃料電池の低速応答性」が明らかになった。そこで,前年度に引き続き本研究では,グリッド連系した各電源や負荷の電力変動周期を30分~1時間を境にして,長周期成分と短周期成分とに分担制御を提案する。長周期変動分について水素製造および燃料電池発電の最適運用計画を実施する。また,短周期変動分についは蓄電池のみが担うものとする。これにより,比較的小容量蓄電池の追加により短周期変動成分の抑制が可能になり,平常時のエコ電力と非常時の電力安定供給が実現できることになる。
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Research Products
(11 results)