2012 Fiscal Year Research-status Report
炭化ケイ素半導体の酸化誘因欠陥の形成メカニズム解明
Project/Area Number |
24560365
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
土方 泰斗 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (70322021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素半導体 |
Research Abstract |
本年度は,(30)Si同位体で構成されたSiO2薄膜を作製する予定であったが、(30)Si同位体は非常に高額なため、HfO2膜で代替することにした。代わりとして、酸化誘因欠陥により生じた結晶欠陥をイメージングする「赤外超高感度CCDカメラ」を導入した。 まず、HfO2薄膜の成長条件を検討した。HfO2成膜装置として研究室既存の電子ビーム蒸着装置を用い、成長したHfO2薄膜は分光エリプソメトリを用いて組成・膜厚を解析した。解析データに基づき蒸発源電流密度、蒸着時間等の成膜条件を絞り込み、所望の膜厚4nmで化学量論組成を有するHfO2薄膜の成膜条件を確立した。また、原子間力顕微鏡によりHfO2薄膜の表面凹凸を観察したところ、本実験目的の遂行に耐える十分な平坦性を有することを確認した。 次に、HfO2薄膜/SiC構造に対して(18)O同位体ガスによる追い酸化を行った。分光エリプソメータにより追い酸化した試料の膜構造を解析した結果、“HfO2/Si(18)O2/SiC構造”が発現し、さらに酸化時間の増加と共にHfO2表面にもSi(18)O2層が形成されていることがわかった。 これと平行し、酸化前後でのSiC基板の結晶欠陥イメージングの比較を行った。その結果、ショックレー型積層欠陥という結晶面の滑りによって生じた欠陥は酸化により縮小もしくは消失するが、フランク型積層欠陥と呼ばれる結晶面の挿入あるいは抜けによって生じる欠陥は酸化によって形成もしくは拡張することがわかった。さらに、フランク型積層欠陥の周囲は、高出力レーザ照射による結晶ダメージとしてショックレー型積層欠陥が形成されやすいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度は、当初の計画通り「HfO2/Si(18)O2/SiC構造」の作製に成功した。従い、今年度に予定通りこの試料に対する深さ方向分析を行えば、本研究目的である「酸化中にSiやC原子が酸化界面から酸化膜に放出されるか」という命題について解が得られる。 これに加え、当初の計画にはなかった「結晶欠陥の酸化による影響」について新たな知見を得ることができたので、このような自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度作製したHfO2/Si(18)O2/SiC構造に対し、二次イオン質量分析法(SIMS)による酸化膜深さ方向分析を分析業者に依頼し、SiCから放出されたSiおよびC格子間原子の検出とその密度分布測定を試みる。次に、酸化温度・酸素分圧などの酸化条件を変えた試料を作製し、酸化条件による酸化膜中のOの挙動、界面あるいは表面付近におけるSiおよびCの挙動の変化を追究していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(12 results)