2013 Fiscal Year Research-status Report
長期耐トリーイング性に優れたアゾ化合物添加複合ナノコンポジット絶縁材料の開発
Project/Area Number |
24560366
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山野 芳昭 千葉大学, 教育学部, 教授 (90134791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 正明 千葉大学, 教育学部, 教授 (40396669)
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Keywords | 電気・電子材料 / ナノ材料 / 複合材料 / 高分子絶縁材料 / 耐トリーイング性 |
Research Abstract |
この研究の目的は、耐トリーイング性を長期間にわたって発揮する絶縁材料を、複合ナノコンポジットを用いて創成することにある。前年度に候補として挙げた複合ナノコンポジット(4hydroxy-Azo-2Carboxylic acid’ (‘hc_Ab’)とAl2O3のナノパーティクルを複合添加したLDPEナノコンポジット,)の長期安定性について、熱的耐久性試験による実証実験的な検討を行うことが目的である。 87 ℃, 92℃そして 95℃に温度調節された3つのオーブンに試料を入れて熱的耐久性試験を行った。試験を行った試料の種類は、無添加PE、Al2O3添加PE、’hc_Ab’添加試料、そして複合添加試料である。試験評価項目としては、重量変化、誘電正接、UV吸収スペクトル、電界発光、およびトリー発生電圧の5項目である。H.26.3.31現在、耐久試験開始から3900h経過している。この時点での複合添加試料のトリー発生電圧を除いた4項目の特性変化は、誘電正接、重量変化については、95℃にて劣化させた試料においても、無添加PEの約半分であり、Al2O3添加PEとほぼ同じ特性を示している。 また、複合添加試料のUV吸収スペクトルと電界発光については、3900hの時点で初期値の1/2以上の特性値を示しており、'hc_Ab'の機能がまだ失われていないことを示している。なお、トリー発生電圧については、2000hまで試験が完了している。 以上のことから、熱劣化開始後3900hを経過した時点(トリー発生電圧の試験では2000h経過した時点)においては、われわれが創成した複合添加ナノコンポジットは、Al2O3添加ナノコンポジットと同等かそれ以上の熱的耐久性を有していると判断できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熱的耐久試験の全行程は5000h~5500hの予定であるが、その2/3以上にあたる3900hまでの試験が完了した。測定サイクルは基本的には約500hであるが、全部で7回以上の測定を行ったことになる。現在の試験結果のみからの判断ではあるが、複合添加したLDPEナノコンポジットは、無添加LDPEおよびAl2O3添加LDPEよりも、各試験評価項目とも良好な熱的耐久性を示している。ただし、トリー開始電圧の測定に関しては、熱劣化させたペレット状の試験材料は、試験時にそれを溶融成形して所定のブロック状の形状にする予定であったが、1500h経過から、溶融しても各ペレット同士が混ざり合わず、ブロック状への溶融成形が困難になった。そのため、ブロック状試料を作製し直して、再度、熱劣化を開始した。そのことがあってやや遅れていると判断した。この遅れがあっても試験は7月には終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
熱的耐久性試験を5000h~5500hまで続け、上記の概要で述べた全ての試験評価項目について測定を行いながら、われわれが創成した複合ナノコンポジットの試験結果と無添加LDPEあるいはAl3O3添加LDPEナノコンポジットの試験結果との比較検討をおこなう。このことにより、hc_AbとAl2O3ナノ粒子を添加したナノコンポジットの熱的耐久性が、無添加LDPEあるいはAl3O3添加LDPEナノコンポジットの耐久性と比較して劣らない(あるいは優れている)ことを実証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定がやや遅れたため、測定に必要な消耗品(アルミホールと試料材料保護用のプラスチックフィルム)の消費が計画より少なく、そのための金額が次年度使用額となった。 やや遅れた測定を次年度に行うので、その際に必要な消耗品を購入するために使用する予定である。
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