2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造制御有機薄膜の多重表面プラズモン複合励起と高効率デバイスへの応用
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24560367
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 景三 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00194811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272855)
馬場 暁 新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80452077)
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Keywords | 表面プラズモン / 有機薄膜 / ナノ構造制御 / 金属グレーティング / 金属微粒子 / 太陽電池 / センサ |
Research Abstract |
平成24年度の研究成果などを基に,多重SP複合励起についてさらに詳しく検討した。すなわち,BD-Rグレーティング基板を用いてAu担持酸化チタン薄膜を使用した色素増感太陽電池を作製し,金属グレーティングによる伝搬型SP励起と金属微粒子による局在SP励起の光電変換に寄与する効果の検討を行った。同一セルにおいて,SP励起している場合(p偏光照射時)の短絡光電流をSP励起していない場合(s偏光照射時)に対する比で表した短絡光電流の増強度の光入射角依存性を測定した。伝搬型SP励起の効果や金微粒子による局在SP励起の効果も無い場合の短絡光電流の値を1とすると,SP励起により2倍以上の増強度となることがわかった。また,グレーティングカップリングSP励起のないAu担持酸化チタン薄膜においては3倍の増強度が得られており,Au担持することだけでも短絡光電流がかなり増大することが確認された。グレーティングカップリングSP励起のあるAu担持酸化チタン薄膜においては,7倍もの増強度が得られた。これらの結果より,グレーティング構造による伝搬型SP励起とAuナノ粒子による局在SP励起の両方の効果により,光電変換効率の増大が得られていると考えられた。よって,多重SP複合励起は太陽電池の高効率化に有効であることが明らかとなった。 また,SP共鳴分光法を光導波路分光法や水晶振動子微量天秤法と組合せることなどによる有機センサの高性能化についても検討を行った。すなわち,SP共鳴と光導波路分光法を組合せた複合センサにより,フタロシアニン交互吸着膜の堆積過程のその場評価を行い,水溶液中でも薄膜堆積過程を高精度に評価することが可能であることを示した。さらに,長距離伝搬SP励起や透過型SP励起についても詳しく検討し,バイオセンサへの応用も試みた。そして,これらのSP励起が高感度なセンサの開発に有効であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,ナノ構造制御した有機薄膜における多重表面プラズモン(SP)複合励起について検討を行い,有機デバイスの高効率化に向けた基礎的な研究を行うことであった。グレーティング構造を持つ金属薄膜上に金属微粒子を含む有機薄膜を形成し,色素増感太陽電池を作製し,金属薄膜界面を伝搬するSPと金属微粒子界面に束縛された局在SPとの多重SP複合励起の効果について検討するための短絡光電流測定などの詳細な実験が行われ,検討がなされた。そして,多重SP複合励起により短絡光電流が増大し,多重SP複合励起が有機太陽電池の高効率化に有効であることも明らかとなった。 また,SP共鳴とOWG分光法を組合せた複合センサにより,水溶液中でも薄膜の堆積過程を高精度にその場評価することが可能であることを示した。さらに,長距離伝搬SP励起や透過型SP励起についても詳しく検討し,バイオセンサへの応用も試み,高性能センサの開発に結び付くある程度の成果が得られた。 以上のことより,おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度と平成25年度の研究成果などを基に,多重SP複合励起についてさらに詳しく検討する。すなわち,種々の有機薄膜を用いて,様々な金属薄膜の表面凹凸構造や金属微粒子の位置や分布などを制御してデバイスを作製し,多重SP複合励起の効果を詳細に分析等して,ナノ構造と多重SP複合励起の関係を詳しく検討する。なお,基本的なデバイス構造について電界計算などの理論計算を詳しく行い,基礎的な構造のSP特性などから,デバイスの最適な構造を見出し,デバイスの高効率化を目指す。 また,長距離伝搬SP励起や透過型SP励起についても種々のデバイス構造で検討し,多重SP複合励起機構に関する知見を得て,長距離伝搬SP励起や透過型SP励起のデバイス・センサ応用についてさらに詳細に検討する。 なお,他の研究機関の研究者と議論や研究打合せなどもを十分に行い,多方面から検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の残額は少なく,次年度の交付額と合算して使用した方が有効であると判断したため残額が生じた。 次年度の交付額と合算して,研究成果発表に必要な旅費や学会参加費などに有効に使用する。
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Research Products
(57 results)