2012 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン膜の介在による電極特性の制御とその2次元評価
Project/Area Number |
24560369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
塩島 謙次 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 明弘 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10251985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / 電極 / 2次元評価 |
Research Abstract |
本研究は表面に未結合手が無い安定した構造をもつグラフェン膜を半導体上に形成し、原子オーダーの表面保護 膜を実現することに着目している。金属/グラフェン/半導体構造を形成し、その電気的特性の制御を行うことが 本研究の目的である。H24年度では半導体基板上への大面積グラフェン膜の形成技術の基礎を固める実験に着手した。グラフェン材料の作成として、自前でSiC上にグラフェンを形成する技術を検討した、この手法では高品質なエピタキシャルグラフェンを得ることができるが、一方、高真空で高温の成長条件が必要とされるため、これまでに九州大学・田中悟教授の研究室でしか良膜成長は成功していない。また、SiC上のグラフェンを引き剥がし、半導体表面に転写する技術、および電極形成、余分なグラフェン除去技術も合わせて検討した。 グラフェン膜の膜厚、結晶性に不均一性が懸念されるため、本研究のもう一つのテーマである電極面内で集光 ビームを走査する2 次元評価法の新たな立ち上げも行った。本装置は非破壊で金属/半導体界面の電気的特性を評価出来るもので、今回のこの装置が立ち上がると世界で唯一の装置となる。H24年度は分解能1ミクロン以下を目指し、光学系、機械系の設計から着手し、既存光学部品の選定だけでなく、部品の一部は特注で加工してよりコンパクトな構造を目指した。信号系では低ノイズを実現するよう、電流入力プリアンプを用いたロックイン検出方式を採用して、設計を進めた。測定結果は従来用いられている分光器からの光を用いた測定結果と比較して妥当性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェン膜の形成:この項目は本学・橋本明弘准教授の指導下で行った。小片に切断したSiC基板を真空中で通電により高温加熱することで高真空を保ちながらSiを昇華させ表面にグラフェン膜を形成した。ラマン測定を行った結果、良好なエピタキシャルグラフェンが数ミリ角の大きさで形成されていることが明らかになった。 転写、金属電極プロセス:グラフェン上に薄膜Ti、及び厚膜Alの二層構造を蒸着することにより、密着性が優れ、且つ塩酸により容易に除去出来る金属介在膜を実現した。その上にサファイア基板を接着し、SiC基板から数ミリ角の大面積グラフェン膜の剥離に成功した。GaN基板上への転写は現在のところ再現性が乏しく、来年度、表面処理を検討する。なお、グラフェン膜の除去は酸素プラズマにより容易に除去出来ることを確認した。 電気的特性の2次元評価:2次元光応答法装置の新規構築は、光源として半導体レーザーからの光がシングルモードを介して出射されるものを購入しビーム形状を真円に整えた。GaNのエネルギーバンドギャップよりやや小さい光子エネルギーを持つ紫外、並びに青色光を用いた。機械系では従来までのステッピングモータではなく、ピエゾ素子駆動ステージを採用し高い空間分解能を実現出来る系とした。動作確認として、直径200ミクロンのNi/n-GaNショットキー接触を測定し、従来分光器を同じ大きさの電流収率が得られることを確認した。そして、2波長の電流収率から2次元像として障壁高さが得られることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.GaN 表面処理法の検討、グラフェン膜質の影響:グラフェン膜表面は安定であるが、グラフェン/GaN界面 の制御、グラフェン膜質、膜厚の影響が本検討で最も重要な課題である。よって、H25年度一年を費やして行う予定である。グラフェン膜のGaN 上への転写は圧力を加えるだけのダメージレスプロセスであるが、溶液処理を伴うため、GaN 表面の清浄性を保ちながら行うことが鍵となる。また、グラフェン膜との密着性も高める必要があるため、GaN 表面を帯電させるの水素化、水酸基化や、親水性の向上も検討する。グラフェン膜質、膜厚の評価に関しては本学・橋本明弘教授がラマン分光法である程度の実績をあげておられるため、この結果を活かしグラフェンの層数、端面の構造に着目して進めていく。 2.面内均一性の評価:上記のように本構造を作製するプロセスは安定しておらず、1枚のグラフェン膜の大きさも電極と同程度と予想される。よって、顕微ラマン分光法、AFM 観察と組み合わせながら、新規構築装置による二次元光応答評価を進める。本研究を新規性をアピールできる切り口の一つとして積極的に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
材料費としてグラフェン膜の原材料であるSiC基板、蒸着金属、薬品の購入を計画している、 旅費の使用先としてはH25年8月米国ワシントンDCで開かれるICNS-10会議における研究成果の発表、応用物理学会における発表に関する用途を予定している。 その他、研究成果をJJAP等の論文投稿、掲載する費用も予定している。
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Research Products
(44 results)