2013 Fiscal Year Research-status Report
強磁性ハーフメタル/ダイヤモンド半導体ヘテロ接合を用いた新規スピンデバイスの開発
Project/Area Number |
24560372
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 研二 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10393737)
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Keywords | 半導体 / ダイヤモンド / ショットキー / 強磁性 / ハーフメタル / ホイスラー |
Research Abstract |
本研究では、スピントランジスタ実現の為の最重要課題である強磁性体から半導体への高効率スピン偏極電流注入(スピン注入)に関して、高い化学的安定性や大きなスピン拡散長等の優れた特徴を持つ「ダイヤモンド半導体」と、大きなスピン分極率を有する「強磁性ハーフメタル」を組合せ、その界面を精密制御する事により実現し、ダイヤモンドスピントランジスタを創出する事を目的としている。前年度までの研究で強磁性ハーフメタルホイスラーCo2MnSi (CMS)がダイヤモンド半導体上に成長できる事を確認し、CMS/ダイヤモンド接合を用いたショットキー接合の作製に成功した(本年度Appl. Phys. Lett.に論文を投稿し、刊行された)。本年度の研究ではCMS/ダイヤモンドショットキー接合界面の急峻化とスピン注入を試みた。接合界面の急峻化に関してはCMSの成長温度の低温化が鍵となるが、Arイオンアシスト銃の効率的な利用、成長パラメータの最適化及び2段階成長法(成長後の長時間アニール(~1hr))により成長温度を100℃程度下げる事に成功した。結果として、~300℃程度の成長温度でもCMSが成長する条件を見出し、同じ成長温度でも以前と比較してCMS薄膜の結晶性が格段に向上する事を見出した。スピン注入に関して高濃度ホウ素ドープダイヤモンドを用いた注入を行っているが、まだ十分な成果が得られておらず今後検討していく。CMS/ダイヤモンド界面構造の急峻化に加え、界面構造の最適化(絶縁層、δドープ層の利用)が必須であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではスピントランジスタ実現の為の最重要課題である強磁性体から半導体への高効率スピン注入に関し、強磁性ハーフメタルとダイヤモンド半導体を組合わせて行う事で達成し、ダイヤモンドスピントランジスタを創出する事を目的としている。今年度の研究でCo2MnSi/ダイヤモンド接合を用いたショットキー接合を作製し、高効率スピン注入に必須となる界面の急峻化にある程度成功しているが、上述の様に、本年度の目標であるダイヤモンドの高効率スピン注入にはまだ至っていない為(高効率スピン注入に向けて、ある程度の目途は立っており、今後の実験により可能となると思われる)。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究で、Co2MnSi/ダイヤモンド接合を用いたショットキー接合を作製し、高効率スピン注入に必須となる界面の急峻化にある程度成功しているが、ダイヤモンド半導体への高効率スピン注入には至っていない。次年度はCo2MnSi/ダイヤモンド界面構造の急峻化に加え、高効率スピン注入を可能とする界面構造(絶縁層、δドープ層の利用)の再検討を行うと共に、スピントランジスタの試作を行っていく。
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Research Products
(14 results)