2012 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化ナノ結晶による強誘電トンネル効果の解明と新規メモリ素子の実現
Project/Area Number |
24560374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西田 貴司 福岡大学, 工学部, 准教授 (80314540)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子セラミックス / トンネル電流 / 薄膜 / ナノ結晶 |
Research Abstract |
最近、電子セラミックスなどの強誘電体材料では新奇な現象として、材料をナノサイズにしたとき、強誘電分極と相互作用する特異なトンネル電流が見いだされ、非常に注目されている。この現象を応用することで、ナノサイズ、超低消費電力、高耐久の究極のメモリ素子が得られるため、現象解明が渇望されている。本研究は、独自の手法・アプローチとして、(1)自己組織化を利用した高品質なナノ結晶育成、(2)超高感度電流測定による強誘電体ナノ膜の界面状態評価、を活用することで、この新現象の解明に取り組むとともに、将来の応用に有用な知見の獲得を目指すものである。 初年度は自己組織化ナノ結晶の育成技術の確立を目指すため、特に2点についての研究を進めた。具体的には、まず、基礎的な評価・解析である結晶構造解析を放射光施設(Spring8)などを利用して進め、これまでにない均質、超高品質な強誘電体ナノ結晶を実現することを目的に研究を進めた。また、並行して、得られたナノサイズ結晶の電気的特性評価を行うために、走査型プローブ顕微鏡の改修により極限の低ノイズ、超微少電流化を図った。 第一に、高品質ナノ結晶の育成と分析については、放射光施設の協力を得ることで、非常に平坦度の高いサファイアナノ結晶表面を得、さらに成膜条件の最適化を追求した。その結果、ロッキングカーブ半値幅0.1度以下のきわめて配向性の高い結晶成長が得られており、所定の成果を得ることができた。 第二の電気的特性評価の環境整備についてては、本年度は大学からの支援により、ナノ結晶研究に専有で利用できる、走査型プローブの導入が行うことができた。以後、装置の調整、改良を進め、ナノ結晶表面の表面増の観察が明瞭に行える状況にある。しかし、本年はSPM装置の在庫の都合で、納入時期が遅くなったため、電気測定の調整が年度末にずれ込んでおり、目下急いで進めつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りの進展であるが、ナノ電気特性測定の構築が遅れ気味である。これは、現在、ナノ観察の研究が非常に活発であるため、装置が品薄となって納入が遅れたためであり、研究上の物理的な問題といった本質的な課題の発生によるものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前述の測定装置の構築を進めつつ、並行して、種々の条件で作製したナノキャパシタ構造でトンネル電流測定を行い、条件依存性(サイズ、電極材料、応力、成長方位、界面欠陥密度、温度)を明らかにすることで、各種の仮説の適合性について検討し、強誘電トンネル効果の機構解明を狙う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のような状況のため、電気的特性測定装置の構築関連にまつわる物品の購入も遅延したため、初年度にて研究費の繰り越し金が発生している。 しかし、設備備品は初年度にて装置の導入などがほぼ終わったため、次年度は前記の測定装置の構築費用(部品、材料類)に加え、当初計画のナノ結晶の原料や各種装置の消耗部品機材など、消耗品の購入が主になる。
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