2014 Fiscal Year Annual Research Report
走査SQUID顕微鏡を用いた粒界の電流分布と磁束のその場同時観察
Project/Area Number |
24560389
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
有沢 俊一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (00354340)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 哲治 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (10323784)
遠藤 和弘 金沢工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50356606)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 走査SQUID顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導体中では磁束が量子化され、その磁束量子は電流を流すことによりローレンツ力を受けて移動することが知られているが、近年その磁束量子の移動が整流作用を示すケースが見いだされた。我々は走査SQUID顕微鏡(SSM)によって実空間で個々の磁束量子を実空間で直接観察し、この効果による磁束量子の挙動を明らかにしようとしてきたが、この研究の中で薄膜中を流れる電流ベクトルを磁束量子と同時に測定する手法を編み出してきた。本研究はこの手法を利用してこれまでの観察を発展させ、接合付近における磁束量子の挙動を直接観察することを目的としている。 平成24・25年度においては、粒界の存在する薄膜に加工を施し、電流分布と磁束量子測定の実験を行った。これらの試料に対してSSM測定を行い、磁束と電流の相互作用の直接観察と可視化を実施した。また、アンチドット付近の磁場分布の計算を行った。一方、試料となる超伝導薄膜の合成における高品質化も併せて実施した。平成24-25年にかけて世界的なヘリウム供給減によりSSMによる実験が困難となり、ヘリウム消費を抑制のための装置改良に着手した。結晶粒界ジョセフソン接合への量子化磁束の侵入過程の直接観察に成功し、また円形以外のアンチドットでも電流を評価する方法を示した。平成26年度にヘリウムの供給は改善したものの価格は高騰し、実験回数には制約があった。 研究開始当初は、試料としていくつかの材料を検討しながらもc軸配向の酸化物超伝導体薄膜の粒界接合を本命として想定していた。しかし、研究の過程において26年度に1軸成長した非c軸配向のBi系超伝導体の作製方法とその評価手法が分担者の遠藤を中心に開発された。これを利用することにより、ジョセフソン磁束のテクスチャが薄膜で観察され、本研究に非常に有効であることが見出された。工業所有権の出願準備中である。
|