2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代高移動度チャネル材料向け全窒化膜ゲートスタック技術の研究
Project/Area Number |
24560390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
前田 辰郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (40357984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 哲二 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究員(部門付き) (90220152)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高移動度チャネル材料 / 窒化膜ゲートスタック / スパッタリング / ハフニウム窒化物 |
Research Abstract |
本研究では、高移動度チャネル材料向けゲートスタック材料として、HfNxを選択し、そのユニークな電子物性を明らかにする事、そしてHfN金属/HfNx絶縁体/高移動度チャネルという「全窒化膜ゲートスタック構造」を提案し、その有用性を実証する事を目的としている。このゲートスタック構造は、酸化雰囲気を嫌う高移動度チャネル材料に非酸化環境を提供するとともに、化学組成の観点からも最もシンプルなゲートスタック構造であるという特徴を有する。本年度はHfNxの堆積条件の探索と最適化を行った。成膜には、非酸化雰囲気を実現するため、Hf金属をターゲットにした高真空反応性マグネトロンスパッタリング法を用い、今年度は新規設備としてHfNx 専用のスパッタ源を超高真空装置に取り付け、成膜できる環境を整えた。窒化膜形成には、堆積時に窒素を導入しプラズマ化された活性窒素中でHf金属を窒化させることから、窒素流量やチャンバー圧力などの堆積時の条件は、形成される窒化膜の電気的特性を大きく左右する。したがって、作製された膜の物理化学分析、電気測定を系統的に評価し、その結果をもとにゲートスタック構造に適した堆積条件の最適化を図った。その結果、窒素流量比が増加するにつれて、抵抗率が指数関数的に増大し、数百マイクロオームの金属から、半導体さらには絶縁体に窒素流量のみで制御できる事を見出した。得られた成果は、応用物理学会等で速やかに外部発表を行い、高移動度チャネル材料向けの新しいコンセプトのゲート構造ということで注目を浴びている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、研究はおおむね順調に進展している。スパッタリングプロセスにおける条件パラメーターとしては、アルゴンおよび窒素ガス流量、チャンバー圧力、DC入力パワー、ターゲット-基板間距離、基板温度等多岐にわたる。今年度、新規材料に取り組むにあたり、それぞれのパラメーター精密に制御して、求める物性が得られる様に最適化におおむね成功した。まず、堆積速度にほぼ比例するDC入力パワーは固定し、窒素を導入しないHfのみの成膜にて、Hf膜の膜厚均一性から、チャンバー圧力とターゲット-基板間距離の最適値を求めた。その結果、チャンバー圧力1E-3Torr基板高さ55mmで、膜厚の最も均一性の良い膜が得られる事が明らかになった。次に、HfNx膜の堆積のために、アルゴン/窒素流量比を変化させながら、成膜されたHfNx膜の物性を評価した。断面SEM観察から膜厚及び堆積速度を算出し、シート抵抗測定から薄膜の抵抗率を導出した。また、絶縁性の評価には分光エリプソメトリーにて、膜厚と光学的なバンドギャップを観察した。また、一部ゲート絶縁膜向けの~50nm以下の薄膜に関しては、TEMにて膜厚とその結晶性を、また組成分析を試験的にEELSにて評価した。その結果、金属HfN膜の場合、組成比がほぼ1:1数百マイクロオームの結晶性の高い金属が得られる事、金属性HfNx膜は窒素流量比が増加するにつれて、抵抗率が指数関数的に増大すると同時に、結晶性が劣化する事が明らかになった。絶縁性HfNxに関しては、アルゴン/窒素流量比50:50以上でバンドギャップ2-3eVの絶縁膜が得られる事が判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の絶縁性HfNxや金属HfN膜各々の物性評価および電気特性の結果から、次年度はデバイス用途に最適化された膜を使ってMOS構造を試作する予定である。HfNx堆積前には、基板の洗浄、堆積前処理を工夫し、目的とする酸化膜を形成しないスタック構造を作製する。HfN金属/ HfN絶縁体/高移動度チャネル材料のゲートスタック構造を滝に暴露する事無く同一スパッタリング装置内で連続して作成し、酸化膜フリーの全窒化膜ゲートスタックを実現する。堆積後、プロセスダメージを除去するための熱処理の装置も立ち上げる予定である。クリーンルーム内にある半導体加工装置を使用してデバイス化した金属/半導体構造を作製し、I-V,C-V等の電気的特性評価を行う事で界面準位等の電気的な特性を詳細に評価し、高移動度チャネル材料に対する非酸化膜ゲートスタック構造の有用性を実証する。HfN金属膜の場合は、基板温度を上げると、結晶性も良くなり低抵抗化すると思われるが、ゲート金属としての信頼性の観点からは、アモルファスの方が適しているため、物理分析と電気的評価を同時に進めながら、最適解を求める事になる。また、様々な雰囲気下で熱処理を行い、耐熱性等の物性評価も合わせて行う予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、界面構造の評価のために断面TEM観察あるいはラザフォード散乱測定高解像(RBS)等を外注する予定である。電気特性手の相関を見ながら、ゲート電極もしくはゲート絶縁膜の観点から、アモルファス状況が良いのか、多結晶化した状態が良いのかを判断する。また、金属と窒素の組成比、その他酸素等の不純物の含有量を求める。酸素などの不純物の存在は窒化物金属の特性を大きく左右すると考えており、詳細な分析が必要である。 成膜に関して、スパッタリングに用いる基板やガスなどの消耗品の購入を予定している。新たなスパッタリングターゲットや試料作製のためのガスボンベ(約5万円/本)は、本研究を実施する上で欠くことができない。 デバイス試作のためのクリーンルーム使用料を産総研のクリーンルーム使用料の過去の例を参考にして計上している。成果発表のための旅費については、国内学会にて毎年1回発表することを見込んでいる。
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Research Products
(3 results)