2013 Fiscal Year Research-status Report
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24560392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末光 哲也 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90447186)
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Keywords | 窒化物トランジスタ / マイクロ波・ミリ波 |
Research Abstract |
GaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT)において正確なゲート遅延時間解析を行い、電子速度を評価するため、まずは電流コラプス現象を解消することを今年度の第一の目標とした。 昨年度の検討で導入したSiCN誘電体膜による表面パッシベーション効果により、電流コラプス現象の低減は確認できたが、まだ完全に解消されるには至っていなかった。電流コラプス現象の一因として、ゲート電極端への電界集中によって電子がAlGaN層に放出され、深い準位による捕獲を招くことが挙げられる。 これを解消するため、ゲート電極端への電界集中を緩和させるフィールドプレートを導入することを検討した。中でも特に電界集中緩和効果の高い、傾斜型フィールドプレートをSiCN誘電体膜を用いて作成する手法を確立した。これは、SiCNをプラズマ気相成膜法によって成膜する際に、プロセスガスの成分を段階的に変化させることによって少しずつ性質の異なるSiCN膜を積層し、フィールドプレート用開口をする際のエッチング速度の違いを利用して傾斜した側壁を持った開口を実現するもので、プロセスガスの成分の変化のさせ方によって開口側壁の形状を制御することを可能とした。このフィールドプレートの導入により、AlGaN/GaN HEMTにおいて電流コラプス現象を完全に解消することを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成する上で不可欠となる、GaN系高電子移動度トランジスタにおける電流コラプスの発現を解消することが出来た。これにより高周波Sパラメータ測定の結果を用いてゲート遅延時間を解析し、電子速度を評価する準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製した傾斜フィールドプレート付きAlGaN/GaN HEMTに対してゲート遅延時間解析を実施し、電子速度を見積もる。更に、分割ゲート構造を導入したHEMTを作製して同様にゲート遅延時間解析を実施することにより、チャネル内部での電子速度の違いについて考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残金が少額のため、消耗品等の購入で無理に執行するよりも次年度予算と合わせて執行する方が効果的と判断したため。 研究の目的を達成するため、これまでの電流コラプス抑制の知見を取り込んだ、新たな電子速度評価用素子を作製する。このために必要となるウエハ、電極材料、薬品等プロセス用消耗品を購入する。また、成果発表のための学会参加費および出張旅費に充てる。
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