2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560392
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末光 哲也 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90447186)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 電界効果トランジスタ / マイクロ波・ミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに開発した、SiCN薄膜を用いた傾斜型フィールドプレート(FP)をもつGaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT)を用いて、ゲート遅延時間解析を行い、キャリア空乏領域のドレイン側への広がりを考慮した実効ゲート長の見積り、それを考慮した電子速度の見積を行った。 比較のため、傾斜型FPに加えて、3段・4段といった多段型FPを持つHEMTも試作した。電気特性を比較すると、3段、4段、傾斜型の順に電流コラプス抑制の効果が大きくなり、傾斜型FPでは測定できる電圧条件の範囲では電流コラプスはほとんど観測されなかった。また、ドレイン耐圧も3段、4段、傾斜型の順番で高くなり、傾斜型ではFPなしのHEMTに比べ66%の耐圧向上が確認できた。これらの効果は、FPの形状を変えることにより、より効果的にゲート端への電界集中を抑えて最大電界強度を下げた結果と考えられる。 HEMTにおける電子速度は、ゲート下のキャリア空乏領域の長さを高周波測定から求めた真性ゲート遅延時間で割ることによって評価できる。キャリア空乏領域の長さは、ドレイン電圧の影響でゲート端からドレイン側へ広がる空乏領域を考慮することが必要である。先に紹介した異なるFP形状によって耐圧に差が生じた結果は、電界分布の違いによってドレイン側への空乏領域の広がりに差が生じたことを示唆している。この差に着目して、ゲート電極直下におけるキャリア電子の走行時間をそれぞれの素子について求め、キャリア速度を見積もった。 3段および傾斜型FPを持つゲート長180nmのHEMTについてゲート電極直下の電子走行時間を求めると、3段FP付きで1.49ps、傾斜型FP付きで1.42psとほぼ等しい値を得られ、ドレイン側への空乏領域の広がり分の補正ができた。この走行時間とゲート長から電子速度を見積り、1.21~1.27×10^7 cm/sという値を得た。
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Research Products
(7 results)