2013 Fiscal Year Research-status Report
環境センサー向け超微細・超低電力アナログLSI複合評価技術の研究
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24560411
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
中武 繁寿 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (10282831)
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Keywords | 計装アンプ / センサー / オペアンプ / レイアウト / ADC |
Research Abstract |
平成25年度においては、環境センサー向けの計装アンプとADCの研究・開発を行った。まず、計装アンプとしては、トランジスタ・アレイに基づき、製造ばらつきを抑制するためのレイアウト方式に関する研究を行った。計装アンプは、入力オペアンプ、出力完全差動アンプから構成され、生態系の微弱信号を測定するために、低速・高利得(1~1000倍増幅)の仕様となっている。製造は0.6um/5Vのプロセスを利用した。計装アンプ内の差動入力となる2個のオペアンプのレイアウトについて提案とその検証を行った。提案の鍵は、2個の入力オペアンプの各回路ブロックを重ね合わせるように混在させ、オペアンプの相対精度を向上させることにある。この方式の効果を確認するために、混在方法の異なる5パターンのレイアウトを作成し、チップを製造し、オペアンプのDCオフセットのばらつきを評価した。評価結果においては、オペアンプ2個分の各回路ブロックを拡散領域内で混在させる方法が最も良い歩留まりが得られることを確認し、提案手法の優位性を実証した。 次に、この混在方式に基づき計装アンプを設計・製造し、その測定において、1倍、10倍、200倍の利得を確認し、入力の2個のオペアンプにはそれぞれオフセットが相殺され、差動出力において高い利得を得ることができていることを確認した。また、耐ばらつき計装アンプの設計手法の確立を目的として、オペアンプの製造性評価データに基づき、計装アンプの製造性をモンテカルロ法を用いた統計シミュレーションで再現する検証を行い、ほぼ実測と整合する結果を導出した。 さらに、高分解能、低速、低電力のADCを開発した。アーキテクチャは低電力性を重視して逐次比較型ADCとした。対象プロセスは65nm/1.2Vとした。開発したADCは、DNL・INL、SNDR、SFDRの評価を行い、既存の低電力ADCと比較して良好な性能を得ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では、オペアンプ試作による耐ばらつき評価に加え、計装アンプに関して、チップの開発及び実測評価まで進めることができ、提案方式の優位性を確認することができる一方で、環境センサーへ応用する上での課題も見えてきた。この課題を研究にフィードバックし、あと1年の研究期間でさらにその克服のための改善に取り組むことができ、当初の計画より質的な向上が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度には、これまで開発してきた計装アンプとADCを1チップ化し、それらを組み込むアナログフロントエンドモジュールを搭載する環境センサーシステムとしての評価を進める。プロセスノードは、ディジタル部とのI/Fを考慮し180um/3.3Vを予定している。さらに、システム的な評価を行うためにディジタル信号処理によるノイズフィルタリングの適用も同時に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2月の積雪の影響で、チップ評価ボードの開発が遅延し、3月に予定していたチップ評価のための作業が4月にずれたため、3月分の人件費の一部が残額として生じてしまった。 次年度予算と合算して人件費として利用する。
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