2013 Fiscal Year Research-status Report
化合物半導体ナノワイヤ/CMOS集積化によるラボオンチップ
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24560414
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
和保 孝夫 上智大学, 理工学部, 教授 (90317511)
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Keywords | ナノワイヤ / CMOS / ラボオンチップ / 化合物半導体 / 異種技術集積 / ΔΣ変調器 / 国際情報交換 / ドイツ |
Research Abstract |
1.CMOS 回路設計/試作評価:ΔΣ型A/D 変換器および逐次比較型A/D 変換器を対象として低消費電力動作を目指した回路設計/試作を行った。前者では、共通ソース増幅器のダイナミックに基づく積分器を新たに提案し、0.35μmプロセスで回路試作を行った。性能評価を行ったところ、OSR = 128、帯域20 kHzで70dB程度の良好なSNDRが得られた。シミュレーション値より数dB低く、寄生CR抽出が不十分であったためであると考えられる。また、熱雑音解析を行い、容量値の最適化を図った。逐次比較型A/D 変換器では、冗長性判定を採用した上位ビット判定部と、プリアンプを非同期でON/OFFさせる下位ビット判定部からなる2ステップ構成を提案し、消費電力が大幅に削減できる可能性を回路シミュレーションで明らかにした。 2.ナノワイヤ/CMOS集積回路試作:昨年度に引き続き、インバータベース低消費電力ΔΣ変調器を搭載したCMOS基板上へのInAsナノワイヤ堆積プロセスの検討を進めた。誘電泳動現象を利用した電界支援自己整合プロセスにより、ナノワイヤをCMOS基板上の予め決められた位置に堆積させた。さらに、ポジ型レジストの逆テーパ型現像条件を見いだしたことで、ナノワイヤの剥離を抑えつつ、その周囲を包み込むようにコンタクト電極を作製することが可能になった。 ΔΣ変調器の出力がパルス頻度変調されること、更にそのデューティ比が入力電圧に比例することを利用して、ナノワイヤ両端の電圧値を評価した結果、高感度(約1mV)でその値を検知できることを明らかにした。これは予め測定してあったΔΣ変調器の分解能(10ビット精度)に匹敵する。CMOS基板に搭載されたΔΣ変調器とナノワイヤとの良好なコンタクトが得られたこと、さらに、ナノワイヤ堆積プロセス後でもΔΣ変調器の性能劣化がないことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMOS 回路設計においては、シミュレーションによる動作原理確認および回路試作による性能実証実験を順調に進めることができた。特に、新たに考案した低消費電力ダイナミック積分器を用いたΔΣ変調器の回路試作を通じて、ほぼシミュレーション通りのSNDRが得られたことは大きな収穫である。 また、集積化プロセスに関しても、新しいレジストプロセスを導入してプロセス再現性を高めることができた。また、ΔΣ変調器との集積化によって、1mV精度でナノワイヤ両端の電圧変化を測定できたことから、ナノワイヤ/CMOS集積回路の高感度センサ応用への見通しが得られた点も重要な結果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CMOS 回路設計:ΔΣ変調器の回路構成に関する検討を進める。(1)信号成分が積分回路を迂回して流れるフィードフォワード方式を採用して、積分器の非線形性への要求条件を緩和すること、また、(2)限られた電圧ヘッドルームを最大限利用するため内部基準電圧の調節方法を考案すること、により一層の低消費電力動作を目指す。一方、逐次比較型A/D変換器に対しては、新しく内蔵シリアルDACを採用した小面積非バイナリ方式を検討し、回路設計を行う。回路試作/性能評価も含めて両者の性能を比較した上で、ナノワイヤと組み合わせるA/D変換器を最終的に決定する。 2.集積化プロセス:InAs/InPコアシェル型ナノワイヤとCMOS基板との集積化に着手し、InAsナノワイヤとの比較検討を行う。特に、コアシェル構造によるナノワイヤ表面安定化効果を実験的に検証することを目指す。また、ナノワイヤ表面へのガス分子吸着による伝導度変化を評価するため、ガス導入チェンバを用いたガス分子吸着実験に着手する。さらに、ドーパミンなどの神経伝達物質分泌をモニタする目的で、細胞培養液や刺激物質、神経伝達物質に対するナノワイヤの伝導度変化を実験的に評価することを試みる。最終的には細胞をCMOS基板上に配置して、そこから分泌される化学物質を検知できるラボオンチップ型センサのプロトタイプ実現を目指す。期末には、可能なら海外共同研究者との共同研究の成果を主テーマとするシンポジウムを企画する。
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Research Products
(16 results)