2012 Fiscal Year Research-status Report
ニューロンMOSFETを用いた高速かつ低消費電力AD変換回路
Project/Area Number |
24560416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤本 邦昭 東海大学, 産業工学部, 教授 (60229044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | AD変換 / ニューロンMOS / FGMOS / ニューロンCMOSインバータ / フローティングゲート |
Research Abstract |
高速、低消費電力、小型といった特性が同時に得られるAD変換器を、可変閾値特性を有する電子素子であるニューロンCMOSインバータを用いて構成し、その性能を試作チップを用いた実験により確認することを目標としている。まず、AD変換回路の構成に適したニューロンCMOSインバータの回路として候補に考えていた下の2方式の性能比較を行った。 (1)フローティングの半分をWellと重ねることにより、フローティングゲート-基板間容量とフローティングゲート-電源間容量を等しくする方式 (2)絶縁基板または高抵抗基板を用いる方式 この2方式はいずれも、寄生容量の影響を排除しようという考えに基づいている。しかし、寄生容量の影響を排除するのではなくCMOSインバータの閾値を下げることでキャンセルするという新たな着想に基づいたニューロンCMOSインバータを提案し、動作速度とレイアウト面積の点で最も有効であることをシミュレーションにより確認し、この方式を以後の研究において採用することとした。 また、当初予定していた回路構成を一部変更するのみで大幅に高速動作可能になるという結果がシミュレーションにより得られた。さらに、ニューロンCMOSインバータ部分を、これと等価な電子回路に置き換える事で、一般的な集積回路製造プロセスにおいても製造可能になり、その場合においても高速かつ低消費電力という特徴が失われないことをシミュレーションにより確認した。 なお、現在特許申請の準備を進めており、成果の論文や学会での発表を見合わせている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AD変換回路の構成に適したニューロンCMOSインバータの候補として考えていた2種類の回路よりも、動作速度、レイアウト面積の点で優れた回路方式を提案した。 また、当初予定していた回路構成を一部変更するのみで、大幅な高速動作が可能になるという結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
寄生容量により変動したフローティングゲートの電位をCMOSインバータの閾電圧を下げることによりキャンセルする方式のニューロンCMOSインバータを用いて以後の研究を進める事としたが、閾電圧を製造工程で精度よくコントロールすることは難しい。そこで、閾電圧を自動調整する回路を組み込みたいと考えており、その回路構成について今年度は検討したい。 また、フローティングゲートの大きさ、ゲート長、ゲート幅等を変更して、各設計パラメータと閾電圧、動作速度、消費電力の間にどのような関係が存在するかを明らかにしたい。 さらに、配線容量、ポリシリコンや配線の抵抗成分、場所による素子のばらつきなどを試作チップを用いて測定し、平成26年度のAD変換回路全体の集積化に向けた諸データの収集を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度から26年度へ繰り越しが発生しているが、これは東京大学大規模集積システム設計教育研究センターの新しいプロセスのテストランに参加し無料で集積回路を作ることができたことと、平成25年度前半において研究が遅れていたため当初予定していた国際会議に参加しなかったためである。 平成26年度は、AD変換回路全体を1チップに集積化し、性能を評価したいと考えており、そのためのレイアウト設計費用として20万円、チップ試作費用として30万円を予定している。また、得られた成果を国際会議において発表したいと考えており、そのための費用として30万円を予定している。
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